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アベンジャーズ生みの親スタン・リーの生涯 「私は売文ライターだった」

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月25日 10時55分

●From a literary standpoint, Spider-Man tapped into the era's existentialism―an average person who fell victim to an accident that changed his life in every way imaginable.
(文学的観点から見ても、スパイダーマンはこの時代の実存主義に通じるものがあった。平凡な人間が偶然何かの事件に巻き込まれ、あらゆる点でそれまでとは違う人生を送らねばならなくなる)

――スパイダーマンと実存主義の関係とは? 実存主義のテーゼが「実存は存在に先立つ」であるとすれば、ヒーローという存在は主体の実存的選択によって決まる。ボーヴォワールになぞらえれば、「ヒーローはヒーローとして生まれてくるのではない。ヒーローになるのだ」とでもいえるだろうか。そういう意味でスパイダーマンはすぐれて実存主義的なヒーローだといえる。

●Some people viewed getting their cherished comic book signed by Lee as the culmination of a lifetime of experiences with Marvel and its superheroes.
(愛してやまないコミックブックにリーのサインを貰った瞬間、マーベルのスーパーヒーローと共に歩んできた自らの人生がクライマックスを迎えたかのように感じる者もいた)

――スタン・リーはコミックブックの最後に読者コーナーを設け、自らに《スマイリング・スタン・リー》《スタン・ザ・マン》という愛称を付けて読者との親睦を深めていった。この読者との交流をリーは「マーベル・ユニバースを1つの巨大な冗談として共有し、このクレイジーな世界を大いに楽しむ遊び」と表現している。この読者コーナーはティーンエイジャーの読者の心をつかみ、彼らは成人した後もマーベルコミックの忠実なファンであり続けた。そうしてかつて存在しなかった種類のファン、筋金入りのアメコミオタクという層が形成されていった。

◇ ◇ ◇

現代のアメリカン・ポップカルチャーだけでなく、全世界を覆うオタク文化を語る上でスタン・リーの果たした役割は大きい。4月26日から公開される映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』によってアベンジャーズ・サイクルがいったん終了を迎える今、本書でもう一度スタン・リーの業績を振り返るのも悪くないだろう。


『スタン・リー:マーベル・ヒーローを作った男』
 ボブ・バチェラー 著
 高木 均 訳
 草思社


トランネット
出版翻訳専門の翻訳会社。2000年設立。年間150~200タイトルの書籍を翻訳する。多くの国内出版社の協力のもと、翻訳者に広く出版翻訳のチャンスを提供するための出版翻訳オーディションを開催。出版社・編集者には、海外出版社・エージェントとのネットワークを活かした翻訳出版企画、および実力ある翻訳者を紹介する。近年は日本の書籍を海外で出版するためのサポートサービスにも力を入れている。
http://www.trannet.co.jp/










高木 均 ※編集・企画:トランネット


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