トランプ「護衛官」、バー司法長官のロシア疑惑
ニューズウィーク日本版 / 2019年4月26日 13時5分
バーがオクジフに在籍していいた事実だけで、利益相反の可能性があると考える専門家もいる。ロシア政府がジフ兄弟に関心を抱いていた事実も、今回の捜査の対象だったからだ。
「あの秘密会議にベセルニツカヤが出席していて、ブラウダーとその交友関係について話したという事実。それを踏まえると、あの会合の目的は何で、ブラウダーやジフ兄弟の役割は何かという疑問が生じる。そこで何らかの共謀があったのだろうか」とシュガーマンは問う。
そして最後に、ドイツ銀行の問題がある。ドイツ銀行は大統領の座を目指すトランプに融資を提供していた唯一の銀行として知られるが、バーはここに相当な資産を預けていた。この銀行はロシアの資金洗浄疑惑でも名前が挙がっており、議会が今もトランプと同銀行のつながりを調べている。
いかがだろう。これだけの事実がそろえば、バーはロシア疑惑の捜査の監督から身を引くべきではないだろうか。
「個人的に関与し、何らかの利益を得ていたのなら問題だ」と言うのは、かつて連邦選挙管理委員会の法律顧問を務めたラリー・ノーブル。「それはトランプ政権全体の問題でもある。この政権に関わる人間は誰もが、何らかの形でロシアとつながっているように見える」
そのとおり。見飽きた光景だけれど、目を離してはいけない。
<本誌2019年4月30日/5月7日号掲載>
※4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が尊敬する日本人100人」特集。お笑い芸人からノーベル賞学者まで、誰もが知るスターから知られざる「その道の達人」まで――。文化と言葉の壁を越えて輝く天才・異才・奇才100人を取り上げる特集を、10年ぶりに組みました。渡辺直美、梅原大吾、伊藤比呂美、川島良彰、若宮正子、イチロー、蒼井そら、石上純也、野沢雅子、藤田嗣治......。いま注目すべき100人を選んでいます。
クリスティナ・マザ
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