人類の英知が導いたブラックホール初撮影
ニューズウィーク日本版 / 2019年5月7日 18時45分
超巨大ブラックホールの形成については諸説あるが、ブラックホールは「宇宙空間に開いた穴」ではなく、物質だ。
72年にはロバート・サンダースらが、私たちの銀河の中心にある物質は太陽の約100万個分の質量を持つと計算した。78年までにはウォーレス・サージェントらが、M87銀河の中心にある物質の質量は私たちの太陽の50億倍と推定していた。
そして95年には日本の三好真らが、M106銀河の中心にあるブラックホールを電波干渉法による観測で確認した。
今日では、私たちの銀河に近い銀河系にある約130の超巨大ブラックホールが、その周辺にある星やガスの公転速度と距離によって確認されているが、その中心部で起きている重力崩壊の様子までは観測できていなかった。
地球から観測できる範囲で一番大きく見えるのは私たちの銀河とM87銀河なので、今回の国際プロジェクトはこの2つの銀河に絞って観測を続けた。
そしてついに、M87銀河のブラックホールのシルエットを捉えることに成功した。大変な快挙だ。ブラックホールは時間をものみ込むらしいが、人類の想像力と英知、意志の強さ、そして科学的な予測の力も驚異的な自然の力なのである。
Alister Graham, Professor of Astronomy, Swinburne University of Technology
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
<本誌2019年04月23日号掲載>
※4月30日/5月7日号(4月23日発売)は「世界が尊敬する日本人100人」特集。お笑い芸人からノーベル賞学者まで、誰もが知るスターから知られざる「その道の達人」まで――。文化と言葉の壁を越えて輝く天才・異才・奇才100人を取り上げる特集を、10年ぶりに組みました。渡辺直美、梅原大吾、伊藤比呂美、川島良彰、若宮正子、イチロー、蒼井そら、石上純也、野沢雅子、藤田嗣治......。いま注目すべき100人を選んでいます。
アリスター・グラハム(豪スウィンバーン工科大学天文学教授)
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
ワープ航法は重力波を出す? 「アルクビエレ・ドライブ」の解析で判明
sorae.jp / 2024年7月4日 21時4分
-
ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡、133億光年かなたの星団を捉える
共同通信PRワイヤー / 2024年7月4日 11時0分
-
現存する望遠鏡だけで「ホーキング放射」をブラックホールから検出できる日が来るかもしれない
sorae.jp / 2024年6月26日 11時0分
-
初期宇宙には “色付きブラックホール” が存在した? 暗黒物質探索の思わぬ副産物
sorae.jp / 2024年6月24日 21時9分
-
ブラックホールの「目覚め」初観測...「前例がない挙動」
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月21日 11時40分
ランキング
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)