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新天皇・新皇后が「国際派」に慌ててイメチェンするのは危険だ - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月9日 18時20分

国内の事情も同様だ。平成においては天皇制を積極的に支持するのは高齢の保守派であり、ある年齢以下の世代は消極支持であったり無関心であった。そのように対立構図が比較的安定していたなかでは、一定の象徴天皇像を描くのは比較的容易であった。

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だが令和を迎えた現在、ネットによるコミュニケーションが活発となるなかでの対立構図は異なる。一部の保守派は男系主義を重視するあまり旧宮家の皇族復帰まで唱えて「昭和天皇家」を軽視し始める一方で、元来は天皇制度に冷淡であったリベラル派が天皇への積極支持に変わっていたりする。こうした「ねじれ」は不安定なものを抱えており、天皇皇后として、バランスある立ち位置を定めるのは困難を極めそうだ。

そのように国内の支持層に動揺があるなかで、新天皇新皇后が「国際派」へ拙速なイメージチェンジを図るのは危険だ。その意味で、即位直後に予定されるトランプ米大統領の国賓待遇での来日は大きな試金石になるだろう。

天皇皇后像としての新鮮味をアピールするのは差し控え、とりあえず見事な英語で品格と教養を示しつつ、大統領の持つ庶民性も「立てる」ことで関係を円滑にする、そのような儀礼の実務に徹してはどうだろうか。それ自体が簡単ではないかもしれないが、周到な準備を行うことで、一歩一歩を踏み固めることが肝要であると考える。

<2019年5月14日号掲載>

※この記事は本誌「日本の皇室 世界の王室」特集より。詳しくは本誌をご覧ください。

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