【トランプの疑惑】沈黙を守るムラー特別検察官の狙い
ニューズウィーク日本版 / 2019年5月13日 11時15分
司法妨害の証拠を十分ばらまいておけば、議会が拾い集めて弾劾裁判に持ち込むかもしれない──。それがムラーの狙いだと多くの民主党議員は考えている。ムラーの報告書は複数の事例を挙げ、弾劾裁判における議会の役割に言及している。しかしバーは先日の証言で、ムラーが自身の役割をそのように考えているとしたら「不適切」で、ムラーとの間で話題に上ったことはないと主張した。
弾劾手続きは下院で始まる(バーは5月2日に予定されていた下院司法委員会公聴会での証言を拒否した)。民主党が過半数を占める下院が弾劾決議を採択すれば、上院が弾劾裁判を行う。共和党が多数派を占める上院が有罪の判断を下す見込みは薄いが、1日の公聴会を見る限り、多くの民主党議員は機をうかがっている。ムラーの狙いはそこにあったのだろうか。ロシアゲートのスフィンクスはそろそろ重い口を開くべきだ。
<2019年5月14日号掲載>
※5月14日号(5月8日発売)は「日本の皇室 世界の王室」特集。民主主義国の君主として伝統を守りつつ、時代の変化にも柔軟に対応する皇室と王室の新たな役割とは何か――。世界各国の王室を図解で解説し、カネ事情や在位期間のランキングも掲載。日本の皇室からイギリス、ブータン、オランダ、デンマーク王室の最新事情まで、21世紀の君主論を特集しました。
ビル・パウエル(本誌シニアライター)
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