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鍵を握るのは日本か――世界両極化

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月13日 12時50分

以下に示すのは2018年4月の時点で、経済産業省がIMFデータを基に作成した 「中国と米国、EU、一帯一路関係国との貿易額比較」だ。



このグラフを見れば一目瞭然。

万一にもアメリカとの貿易が完全に無くなったとしても、EUと一帯一路関係諸国が残っただけでも、中国経済は成立することが窺われる。1年前でさえこうなのだから、現時点では「対一帯一路貿易額」はもっと大きくなっているだろう。内需として14億の国民がいるので、それも無視できない。

ということは、中国の未来、あるいは世界の未来には二つの可能性が待ち構えていることになる。



世界の二極化――鍵を握るのは日本か

一つ目の可能性は、世界各国の資本や企業が中国から引き揚げてしまって、中国経済が干上がるという、おそらく多くの日本人が期待している現実がやってくることだ。

二つ目は「中国が対米貿易を完全に無視する」ことによって世界が「米国か非米国か」の二極に分かれてしまう可能性である。

やっかいなのは、むしろ後者だ。

この場合は米国が孤立する。世界の多くの国が対米貿易をしない形で、つまり「米国なしで」、中国を中心としてグローバル経済を回していくことになる。これは筆者が最も恐れ、拙著『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』で警告を発した所以でもある。

米国が孤立した場合、日米同盟で「固く」結ばれているはずの日本は、当然、米国側に立つだろう。そのような形で日本の国益を守れるかは別問題として、安倍首相は「ドナルドと100%共にいる」と誓ったのだから、米国を選択するにちがいない。

では前者の可能性の場合には、どうなるだろうか。

世界の多くの企業が中国からいなくなって中国経済が干上がりそうになった場合、二階幹事長が豪語したような「米国の顔色をうかがって日中の問題を考えていくものではない」を貫いて(二階発言に関しては4月26日付けコラム<中国に懐柔された二階幹事長――「一帯一路」に呑みこまれる日本>)、中国側に立ち、中国を助けるのだろうか?

だとすれば、中国は生き残るかもしれない。

何せ、日米同盟があり、トランプ大統領も「Shinzoと100%共にいる」と言ったのだから。

このように、世界が二極化した場合に、あるいは中国経済が干上がるか否かを決定する場合に、その動向を決めるのは、案外、日本であることが見えてくる。

もっとも、中国が経済的に干上がってもなお、二階幹事長が「米国の顔色をうかがって日中の問題を考えていくものではない」と言い続け、安倍首相が習近平国家主席の前で「一帯一路」への協力を強化しますと言った言葉を撤回せず、日中首脳のシャトル外交を希求し続けるのだとしたら、果たして日米同盟が存続するのかは疑問ではあるが......。

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