「古代マヤの宇宙飛行士」説、アメリカで再浮上?
ニューズウィーク日本版 / 2019年5月14日 16時40分
『望遠鏡』なのではないかと番組で言われていたのは、実際には今日『世界樹』として知られているイメージです。 (一番上の鳥に注目して、望遠鏡説や宇宙船の打ち上げ説と比較してみましょう)。
世界樹の図は古代マヤの意匠としてごく一般的です。もう一度、鳥と特に樹の根元の部分をよく確認してみて下さい。パカル王の石棺の蓋に見られる図柄と顕著な類似点があることが見て取れます。
これはフォン・デニケンや他の#AncientAliens (古代宇宙人)説を唱える人たちによくある手法ですが、あるイメージを創造した文化にとってはごく普通の図柄を取り上げて、元の文脈からかけ離れたものにした上で、ひねった、現代と同じようなものの見方をさせようとします。〜中略〜
フォン・デニケンの主張は、人類だけではあのような都市、文明を築き得なかったと主張するもので、人類の成し遂げたことを悲しいほど貶めています。『古代の宇宙人』は、マンガの中だけの存在にしておきましょう」
考古学者のデイビッド・アンダーソン教授はこのように回答し、マヤ文明に宇宙人が関わっていたとする説を一蹴した。
ツイートで挙げられている「フォン・デニケンや他の#AncientAliens (古代宇宙人)説」とは、1968年に作家のエーリッヒ・フォン・デニケンが著書『未来の記憶』などで広めた「パレンケの石棺に描かれた古代の宇宙飛行士」といった説を差す。古代の文明に当時の技術では考えられないような高度な事物が存在し、地球外から高度な文明を持つ宇宙人がそうした技術を持ち込んだ、という考え方を示唆している。
「超古代文明」に言及する説を信じる人が増えている
アンダーソン教授のツイートに添えられた石棺の図柄は縦に表示されており、世界樹と鳥という意匠を理解しやすくなっている。フォン・デニケンは著書で古代の宇宙飛行士説を唱えるにあたり、図柄を90度回転させて横方向に見せることで元来の解釈をわかりにくくし、自説を補強したとされる。こうした本来の文脈からの切断操作をアンダーソン教授は強く非難している。
こうした「超古代文明」に言及する説は、他にもアトランティス大陸の生き残り、エジプトのピラミッド建設を宇宙人が支援したなど荒唐無稽な多数の説があり、「pseudoarchaeology」と総称される。「pseudo(偽の、まがいの)」と「archaeology(考古学)」を合成した語で、同様のpseudoscienceという言葉が「疑似科学、ニセ科学」と訳されることから「疑似考古学」の意味と考えてよいだろう。アメリカ考古学協会の機関誌でも、偽史の一種であるとしている。
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