中国本土への身柄引き渡しで、香港の自由は風前の灯
ニューズウィーク日本版 / 2019年5月21日 15時30分
今回の条例改正案に対しては、日頃は香港政府に協力的なビジネス界も反対を表明している。自由で公正な司法が脅かされれば、国際的なビジネス拠点としての香港の地位が危うくなりかねないからだ。
外国企業の経営者や従業員がいつ中国当局に拘束されるか分からない状況になれば、深圳などの中国の都市と違いがなくなってしまう。中国本土では、外国企業関係者が根拠薄弱な容疑で逮捕され、非公開の法廷で裁かれるケースが後を絶たない。
香港ではこの数年、政治の自由と報道の自由がじわじわとむしばまれ、「中国化」が進んでいる。それでも香港は法の支配など、本土とは異なる独自性を守り続けてきた。今回の条例改正案が成立すれば、その歴史に事実上終止符が打たれる。
From Foreign Policy Magazine
<本誌2019年05月28日号掲載>
※5月28日号(5月21日発売)は「ニュースを読み解く哲学超入門」特集。フーコー×監視社会、アーレント×SNS、ヘーゲル×米中対立、J.S.ミル×移民――。AIもビッグデータも解答不能な難問を、あの哲学者ならこう考える。内田樹、萱野稔人、仲正昌樹、清水真木といった気鋭の専門家が執筆。『武器になる哲学』著者、山口周によるブックガイド「ビジネスに効く新『知の古典』」も収録した。
ヒルトン・イプ
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