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利他の心に立つ稲盛和夫が活用する京都の日本庭園「和輪庵」

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月21日 19時30分

稲盛和夫は、人生を三期に分けて考えて、60歳頃からの第三期を、死ぬための準備期間として考えているそうです。その準備の一つが得度です。65歳で圓福寺で得度しましたが、その直前には、胃にガンが見つかって手術をしたそうです。

厳しく辛い托鉢の修行もしていたというのは驚きです。仏教的な思想では、魂は輪廻転生で、良きことを思い行うことで、魂を磨きあげるのが意義のある人生だそうです。



稲盛和夫と京都賞

稲盛は、日本初の国際賞である「京都賞」を始めました。きっかけは、かつて、セラミックで素晴らしい研究開発をしていたときに、東京理科大学の教授が自身のポケットマネーで、技術開発に懸賞金を与えていたことでした。事業も成功しお金もある自分が、今度は賞を与える側に立つべきではないかという心の声が聞こえたそうです。

「差し上げるならば、ノーベル賞に次ぐ立派な賞を」と、私財の200億円をつぎ込んで、京都賞を作りました。これは、人類の科学や文化の発展に貢献した者を表彰する目的で、1984年に立ち上げられました。

毎年、「先端技術部門」、「基礎科学部門」、「思想・芸術部門」の各部門に一賞、計三賞が贈られます。受賞者には、京都賞メダルと賞金一億円が与えられます。京都賞は、稲盛財団によって運営されています。

2016年に、京都賞の基礎科学部門で受賞した京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)氏が、2018年、ノーベル賞の生理学・医学賞を受賞しました。京都賞がノーベル賞の前哨戦と言われる所以です。2012年に、iPS細胞でノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥氏も2010年に京都賞を受賞しています。

また、稲盛財団の寄付により、2008年に米国ケースウエスタンリザーブ大学「倫理と叡智のための稲盛国際センター」が設立されました。ここでは、模範的な倫理のリーダーシップを実践し人類社会に多大な貢献をした個人を讃えて、稲盛倫理賞が授与されます。

実は、この賞は稲盛の肝いりだったそうですが、倫理という抽象的なことが日本では賛同を得られず、アメリカの大学がこの趣旨に賛同して制定を迎えたそうです。

こちらも、2014年にこの稲盛倫理賞を受けたデニス・ムクウェゲ氏が、2018年のノーベル平和賞を受賞しました。ムクウェゲ氏は、戦争に端を発する性的暴行被害者を救済するとともに、女性の人権擁護のために献身的な活動を続けているという功績が、ノーベル賞でも稲盛倫理賞でも受賞理由となりました。

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