メイの有力後継候補ジョンソンはヤバい?「合意なき離脱」率25%に
ニューズウィーク日本版 / 2019年5月24日 16時30分
メイの離脱案は3度にわたって議会で否決され、期限がきてもブレグジットを果たせないまま先延ばしになっている。最新のスケジュールでも今年10月31日までに離脱案が可決しなければ、イギリスはEUとの協定なしの「合意なき離脱」に陥ることになる。
EU側は、メイの離脱案が残留以外では最善の策だと考えている。EU加盟国ではないが緊密な同盟関係にあるノルウェーやスイスと同じような関係を保つ、いわゆる「ソフトブレグジット」だ。
だがイギリスの残留派は、メイの離脱案は2016年の国民投票で決定したブレグジットよりもさらに踏み込んだ「ハードブレグジット」だと主張する。
5月22日には、メイ政権幹部のアンドレア・レッドサム下院院内総務が、メイの対応を批判して辞任した。レッドサムは、メイの離脱案ではイギリスは完全には主権を回復できず、EUに縛られたままになってしまう、と言ったという。
政権幹部の辞任はまだ続くかもしれない。5月21日にメイが発表した離脱案の修正案には突然「2度目の国民投票」という項目が表れ、これに対して閣僚が激怒、メイは窮地に陥った。議会を懐柔するために追加した項目が裏目に出てしまったのだ。
保守党議員からメイに対する辞任の圧力も高まっている。多くの保守党議員は熱心なブレグジット推進派で、メイの離脱案は「手ぬるい」と反対している。ブレグジットを実現するためには、経済的、政治的リスクを伴ったとしても「合意なき離脱」を進めるべきと考えるジョンソンのような議員もいる。
メイが辞任すれば、野党からは総選挙を前倒しで実施するよう相当な圧力がかかるだろう。総選挙が実施されれば、ブレグジットの実現はさらに遅れるか、または完全に頓挫する可能性もある。
意見が割れて誰も譲歩しようとしないがために、イギリスにとってのまっとうな出口はどんどん狭まっているようだ。
<参考記事>英国民はそろそろEU離脱が「糞を磨く」のと同じことに気づくべきだ 強硬離脱派の大物閣僚2人辞任
シェーン・クロウチャー
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