英ガーディアン紙、トランプの訪英「歓迎しない」
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月4日 16時0分
「実際、既にそうなっている」と、社説は続く。「EUとの今後の離脱交渉に(ブレグジット党党首の)ナイジェル・ファラージを加えるべきだとするトランプ氏の発言は、既に大々的に報じられている」「保守党の次期党首には、EUからの『合意なき離脱』
を支持するボリス・ジョンソン前外相がふさわしいとも言った」
右派ポピュリストのファラージは、トランプと比較されることが多い。2人は、トランプが米大統領選中だった2016年にアメリカで会っており、トランプは6月2日付のサンデー・タイムズ紙に掲載されたインタビューの中で、EUからの離脱交渉にファラージュを起用しないのはイギリスの「間違いだ」と述べている。
トランプは、イギリスのもう一人の右派政治家であるボリス・ジョンソンのことも称賛しており、サン紙に対して、ジョンソンは6月7日に保守党党首を辞任するメイ首相の「素晴らしい」後任になるだろうと語っている。
「害」は国内外に広がると警告
社説ではまた、ロバート・ムラー米特別検察官が5月29日にロシア疑惑の捜査に関する声明を発表したことを受けて、大統領の弾劾をめぐる緊張が高まっていることや、トランプが今も中国と貿易戦争を繰り広げていること、メキシコからの輸入品に懲罰関税を課すと発表したことや、ルイジアナやアラバマなど複数の州で可決された妊娠中絶禁止の州法を支持するトランプの姿勢などを引き合いに出して、次のように警告した。
「憲政上の危機に直面しているイギリスの政府が、外国の内政に無責任な干渉をする人物を招くことは、自傷行為に等しい。だがトランプ氏を喜ばせることでもたらされる害は、国内外に広がっていくだろう」
社説は最後に、メイ首相らに対して「トランプに直接、異議を唱えるべきだ」と主張。さもなければ「女性の権利への攻撃や近隣諸国へのいじめにお墨付きを与えたように思われる危険がある」と警告した。
(翻訳:森美歩)
※6月11日号(6月4日発売)は「天安門事件30年:変わる中国、消せない記憶」特集。人民解放軍が人民を虐殺した悪夢から30年。アメリカに迫る大国となった中国は、これからどこへ向かうのか。独裁中国を待つ「落とし穴」をレポートする。
ドニカ・ファイファー
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