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浙江省で既に小工場30%が倒産──米中経済戦争の勝者がアメリカである理由

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月4日 16時45分

もう1つ、米中が一致できない部分がある。アメリカは双方が合意した全ての文章を公開することを求めている。中国は全文の非公開を要求している。あくまで概要だけだ。彼らは全文が公開された後、中国国民が政府の大幅譲歩を知って怒り出すことを恐れている。アメリカ以外の全世界の国に知られることも恐れている。公開さえしなければ、将来アメリカに好き放題文句を言うこともできる。

中国は判断を誤った。彼らは当初、トランプは貿易交渉で妥結したがっていると思っていた。なぜなら妥結すればトランプの再選にいい影響があるからだ。しかし交渉が妥結しなくてもトランプの再選にとっていい影響がある。アメリカの共和党も民主党も中国経済に反撃することを支持している。実際、トランプが関税を上乗せした後、米経済は上向き、中国経済は下降している。これはトランプの再選の助けになる。



――しかし貿易戦争を続ければ、米経済にも悪影響が出る。株価が下がることはトランプの再選に不利では?

アメリカの株価は時に下落する。(3000億ドル分の中国製品の関税率を25%に上げた)5月13日に大きく下落したが、翌日には持ち直した。アメリカの経済は全般的に「健康」なので大きな問題は出ない。米中の貿易戦争で生産拠点が中国から他の国に移り、2、3年後、アメリカの輸入品は中国からではなく他の国から来るようになるだろう。そうなれば米経済は安定する。もしアメリカが望む条件で中国と妥結できれば、トランプにとって大きな政治的加点になる。

ファーウェイの問題も経済的、そして政治的に深刻だ。経済的には、ファーウェイの製品が輸出できなくなれば、今後は国内市場だけで製品を売らなければならなくなる。政治的には、ファーウェイがアメリカから半導体チップや技術提供を受けられなくなれば、ウイグルなどを監視するシステムである「天網工程」はストップせざるを得なくなる。

――ファーウェイは中国の健全な民間活力を象徴する企業だ、という見方がある。しかし、一方でカナダで拘束されたCFOの孟晩舟(モン・ワンチョウ)は8通以上のパスポートを所持していたとされる。普通のビジネスパーソンが8通のパスポートを持っているだろうか?

CEOの任正非(レン・チョンフェイ)はファーウェイ株の1%しか持っていない。99%は工会(労働組合)が所有している。中国で労働組合は政府の管理下にある。99%を国が有している企業と言っていい。任は象徴にすぎない。ファーウェイを民間企業と考えるのは誤り。ファーウェイは中国の軍事情報機構だ。

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