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韓国で急増する外国人留学生、いっぽうで問題も顕著に

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月4日 18時30分

賃金水準が高くなった韓国を脱して中国に工場を移転する企業が続出したが、中国の賃金が上昇すると、今度は東南アジアに移転する企業が増え始めた。なかでもベトナムは6000社の韓国企業が進出しており、ベトナム人留学生は2012年の3200人から3万人近くまで急増した。中国人留学生は約5万7800人から約6万6000人に増えている。



さらには、韓国の大学に留学を希望するベトナム人や中国人の増加に伴い不法ビジネスも登場した。現地に事務室を構えて就職希望者を募集し、留学生に偽装して入国させるのだ。斡旋業者はソウルの名門を避けて、地方大学の語学課程を紹介する。地方大学の語学院に入学するビザを得たベトナム人や中国人が、集団で消える事件が起きるようになった。

韓国の大学を卒業しても韓国企業に就職することは難しい

留学生の中には、優秀な学生も多い。高麗大メディア学部と淑明(スンミョン)女子大社会科学は、首席での卒業生は中国人とケニア人で、ほかにも留学生が最高成績を修めた事例は少なくない。

しかし、韓国企業が若い外国人を採用する事例はほとんどないために、韓国の大学を優秀な成績で卒業しても韓国企業に就職することは難しい。母国の韓国企業の待遇は地元大学を卒業した場合と変わらないのだ。海外に進出する日本企業などは、現地採用者を重用し、優秀なスタッフには重要なポストを与えるようになってきていると聞くが、在外韓国企業の場合、主要なポストは本社から派遣される韓国人が独占することが多い。

ソウルのある大学教授は外国人留学生とのこうした問題を、留学生を受け入れなければ収益が出ず、また政府の大学評価で国際指数を重く評価しているのが一因と述べた。また、別の教授は外国人留学生との葛藤が国家全体に対する先入観として定着しかねないと過剰な留学生の受け入れを批判する。

しかし本質的な問題は留学生の受け入れ数ではないのだろう。韓国の大学を卒業した一流人材が韓国企業に就職することは事実上不可能で、また学んでも韓国を出た後、韓国語を使う機会はほとんどないことも難しい条件だ。韓国の大学で学ぶメリットを構築することが、本質的な問題解決の道なのだろう。


佐々木和義


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