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中国「米中貿易」徹底抗戦と切り札は?――白書の記者会見から

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月5日 13時50分

Q:(アメリカCNNの質問の関連部分)少なからぬアメリカ人は中国で商業活動をするために投資することに対して憂慮しているが。

A:中国はつい最近(2019年3月の全人代で)「外商投資法」を制定したばかりだ。どの国であろうと外国の企業が中国に投資しようとした時には、中国企業側が相手国企業側に技術移転を要求することを禁止している。

「信頼できない企業」リスト → Appleを入れるか?

Q:(アメリカCNNの質問の関連部分)先週、中国は「信頼できない企業」リストを発表すると言っていたが、何だか不透明な方法でアメリカのハイテク巨大企業を攻撃しようとしているように見えるが...。

A:そのリストは主として市場の原則や契約精神に違反した企業に対するもので、非商業的目的で中国の企業に対して一方的にサプライチェーンを切断あるいは封鎖して中国企業の合法的な権益に損害を与えた企業を対象としている。これらの企業は国家安全と社会の公共利益や信頼性を失わせるものである。たとえばFedEx(フェデックス)の誤配送の問題などは典型的な例だ。



Q:(中国日報の質問の関連部分)「信頼できない企業」リストはいつ頃発表されるのでしょうか?

A:近い内に公布するつもりだ。

(筆者注:この「信頼できない企業」リストに、もしAppleを入れれば、どうなるだろうか?中国はいつかはApple外しという強烈なカードを切るのではないかと、ずっと思ってきた。今年4月17日付のコラム<Huaweiが5G半導体をAppleにだけ外販?――Huaweiの逆襲>で見たように、中国にとって、Appleほど大きな切り札はない。HuaweiがAppleに、傘下のハイシリコンの半導体を売る可能性をほのめかしただけで、中国政府は慌ててHuaweiを中国政府側に引き寄せたほどだ。そのことは翌日のコラム<5G界、一夜にして一変! 「トランプ勝利、Huawei片思い」に終わるのか>で無力感を吐露した。Huaweiの任正非CEO自身はAppleを褒め、Huaweiを応援するためにApple製品不買運動などしてくれるなと言ってはいるが、しかし中国政府にとっては違うはずだ。アメリカが根拠を示さずにHuaweiは危険だとして排除運動に出ているように、もし中国が何らかの「もっともらしい」理由を付けてApple外しをしたら、アメリカが受ける打撃は普通ではないだろう。何と言ってもApple製品は中国大陸で製造しているのだし、その購買者の20%は中国大陸の若者なのだから。米中貿易戦争の分岐点は、中国がApple製品を締め出すか否かにかかっていると言っても過言ではないほど、Appleの存在は大きい。拙著『「中国製造2025」の衝撃』に書いたように、AppleのCEOは今のところ習近平の母校である清華大学の経済管理学院顧問委員会委員だが、しかし、QualcommのCEOだって昨年までは顧問委員会の委員だった。何が起きるかは分からない。最後の切り札は、Apple外しかもしれない。このリストにAppleを入れた瞬間、米中貿易戦争は「米中ハイテク戦争」という真の姿を全面に出してくるだろう。)

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