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NASAがISSを民間利用に開放、費用はどのくらい?

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月10日 16時44分

<NASAの狙いは、「低軌道上の経済圏」を活性化して自らもそこから利益を得ることだ>

NASAは6月7日、民間企業に対して国際宇宙ステーション(ISS)の商業利用を認める方針を明らかにした。また、民間の宇宙飛行士のISS滞在も受け入れるという。

NASAは今後、製品開発や宣伝を目的とした民間企業によるISSの有償利用を認めるという。NASAの宇宙飛行士という人材や専門技術を含むISSのさまざまな「リソース」を商業目的で利用することも認める。また20年以降、民間企業が宇宙飛行士をISSに送り込むことも可能になるという。

7日の記者会見でNASAの代表者らは、NASAなどがさまざまなサービスを有償で調達できるような経済圏を低軌道(ISSが回っている軌道)上に築くことが長期的な目標だと述べた。このためにNASAは全予算の5%を割くという。

NASAは昨年、民間企業12社を選び、低軌道上における経済活動の将来性や宇宙旅行の需要喚起のために何が最も効果的かについて研究・評価をさせた。12社はISSから収益を上げる方法について議論を交わした結果、ISSのリソースを活用した製品開発やマーケティングを民間企業に認めることが、NASAの求める低軌道上の経済活性化につながると結論づけた。

ISSの利用が認められる活動は、NASAのミッションと関係があるか、低軌道上の経済活性化につながるか、無重力環境を必要としているかのいずれかだという。

また、民間宇宙飛行士のISS受け入れは年に2回、計12人程度に限定されるという。

幅広い創造性や発明の才に期待

宇宙旅行で滞在もできるが、費用は相当かかりそうだ。ISSまで飛ぶ「足」は民間企業で手配しなければならないし、滞在費も払う必要がある。

現時点では、スペースXやボーイングが開発中の新型宇宙船を利用する以外に選択肢はなく、「いくらに価格設定するかは両社しだい」だとNASAの最高財務責任者(CFO)であるジェフ・デウィットは言う。

参考までに、NASAが負担している宇宙飛行士1人当たりの打ち上げ費用は約8000万ドルで、何とかして5000万ドルまで減らそうと努力しているところだ。

滞在費については、1人につき1泊3万5000ドル程度を想定しているとデウィットは言う。

「(ISSを舞台に)創造性や発明の才を駆使し、将来的な収益につなげる方法を見つけ出すのは皆さん次第だ」と、NASAで有人探査を統括するビル・ジャーステンマイヤーは言う。

またジャーステンマイヤーはこうも述べた。「われわれは宇宙を商業活動に開放して民間企業から利益を得られるようにする方策を見きわめるための、民間との開かれた活発な対話を始める入り口にいる。これはどちらにとっても成長・学習体験になるだろう」

計画の効率を高めるため、NASAはISSの商業利用に関心を持つ企業などに対し、意見を求めている。

(翻訳:村井裕美)

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