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米軍がトルコ人向けF35訓練を停止 ロシアのミサイル防衛システム導入をめぐる衝突は不可避か

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月12日 20時13分

<経済制裁もちらつかせるアメリカの強硬な反対にもかかわらず、ロシアのS400購入を強行しようとするトルコは、NATOに背を向けるつもりなのか>

米軍当局は、トルコ空軍のパイロット向けにアメリカで行ってきたF35戦闘機の操縦訓練を打ち切り、F35に関する機密情報にもトルコ人はアクセスできないようにした。トルコが米政府の反対を押し切ってロシア製ミサイル防衛システムの購入計画を進めていることに対する警告だ。

米国防総省は6月7日、ロシアの地対空ミサイルS400の購入契約をトルコが7月31日までに破棄しなければ、F35関連のプログラムからトルコを完全に締め出すとして、正式に期限を提示した。それまでにトルコ政府が方針を変えなければ、NATO同盟国の一員として訓練を受けてきたすべての人員は、アメリカを離れなければならない。

アリゾナ州ルーク空軍基地にいるトルコ人パイロット6名(教官2名と訓練生4名)のF35へのアクセスはすでに禁止されている。米国防当局の話によれば、空軍中佐トッド・カンタベリー准将が先週、トルコ人パイロットの訓練と機密資料を保管している「ボールト(保管室)」への立ち入りを禁止した。

国防総省の報道官であるマイク・アンドリュース中佐は、7月31日の期限とは関係なく、ルーク空軍基地のトルコ人パイロットがもはや飛行できない状況であることを認めた。

「同盟国としてのトルコとは引き続き密に連携していくが、トルコの方針が変わらなければ、F35プログラムへの彼らの参加については段階的に縮小される」と、アンドリュースは述べた。

F35への直接的脅威

今回の訓練打ち切りは、「運用の一時停止」と表現されている。トルコがS400の購入を断念すれば、トルコ人パイロットは訓練を再開できる。

だが、そうなる可能性は低そうだ。シリア紛争でアメリカがトルコと敵対するクルド組織を支援する一方、トルコはロシアと関係を深めてきたことから、アメリカとトルコ間の緊張は高まっている。今回の訓練打ち切りは、その最新の兆候にすぎない。

米政府は、トルコがS400の購入を止めないとなれば、経済制裁もありうると示唆している。それが現実になれば、すでに不安定な状態にあるトルコ経済とレジェップ・タイップ・エルドアン大統領の支持率に直接的な影響が及ぶだろう。6月22日に実施されるイスタンブール市長選のやり直し選挙では、前回に続き、エルドアン率いる与党の候補が敗れるとの見通しも出ている。

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