中国が宇宙ステーションを国際開放、東京大学ほか9件の宇宙実験を受け入れ
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月17日 15時30分
天文学から実用的な宇宙技術まで幅広い実験が採択されており、実現すれば宇宙開発の分野で中国の存在感が高まることは間違いない。宇宙ステーション構築のコストは中国が負担するものであり、目に見える形で宇宙開発に中国が大きく貢献することは確かだろう。
ただし、中国の予定通り2022年までの宇宙ステーション実現にはまだハードルがある。宇宙ステーション計画の中核であるコアモジュール、実験モジュールの打ち上げを担う長征5号ロケットの飛行計画が遅れているためだ。2017年、長征5号は中国最南端の海南省にある海南島から2度目の打ち上げに失敗した。今年7月に打ち上げ再開を目指すとされていたが、さらなる延期を強いられていると米宇宙メディアのSpacenews.comが報じている。ロケット運用の遅れからCSSの完成は2020年代半ばへずれ込むとの見方もある。
国際宇宙ステーションは20年、100カ国以上2500件以上の宇宙実験
2010年、「きぼう」日本実験棟組み立て完了後のISS。Credit: JAXA/NASA
先行するアメリカ、ロシア、欧州、カナダ、日本の国際宇宙ステーションは、最初のモジュールが打ち上げられてから20年を迎えた。これまで100カ国以上の参加者による2500件以上の宇宙実験を実施し、日本はUNOOSAを通じて「KiboCUBE」というプログラムで超小型衛星の開発支援を続けている。第4回となる今年はモルドバ共和国初の人工衛星となる超小型衛星を受け入れ、2020年に「きぼう」実験棟から軌道上へ放出される予定だ。
2018年5月11日「きぼう」から放出されたトルコ共和国イスタンブール工科大学の超小型衛星「UBAKUSAT」。Credit: JAXA/NASA
宇宙実験の機会提供という宇宙を通じた国際協力の枠組みをISSが作り上げたことは間違いない。だが、一国で宇宙ステーション構築の巨大コストを負担してでも門戸を開いたCSSは、宇宙分野の魅力攻勢として強い存在感を放つだろう。2020年代に入って、地球低軌道の利用は「どの宇宙ステーションが宇宙新興国にとってより確実に宇宙開発を支援してくれるのか」という選択の目にさらされることになると考えられる。
Tiangong, China's new space station-Global Times
秋山文野
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
DigitalBlastが開発する宇宙用のバイオ実験装置「AMAZ」とは? - 第1回SPEXA
マイナビニュース / 2024年4月26日 20時56分
-
有人宇宙船「神舟18号」、打ち上げに成功―中国
Record China / 2024年4月26日 12時50分
-
中国、有人宇宙船打ち上げ 35年までに月面基地完成
共同通信 / 2024年4月25日 22時42分
-
2021年にISSから投棄された人工物の一部が大気圏再突入後に米国の民家へ落下
sorae.jp / 2024年4月18日 21時21分
-
千葉工大の学生が開発した衛星が宇宙空間へ! - ISSからの放出に成功
マイナビニュース / 2024年4月12日 16時52分
ランキング
-
1ロシア、凍結資産の接収に警告 「欧米経済は終わりだ」
共同通信 / 2024年4月29日 16時4分
-
2ウクライナ「数カ月劣勢」=NATO総長、西側の支援遅れに懸念
時事通信 / 2024年4月29日 22時52分
-
3イスラエル、エジプトに代表団派遣へ=ガザ休戦で交渉本格化
時事通信 / 2024年4月30日 8時10分
-
4ガザ病院職員がICC検察官に証言、戦争犯罪の疑いで捜査
ロイター / 2024年4月30日 10時11分
-
5妨害電波で「フィンエアー」が一部運休 ロシア関与の指摘も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月30日 11時34分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください