決済の本丸を目指すフェイスブックの仮想通貨「リブラ」
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月19日 19時20分
サービス開始前に100の企業・団体をネットワークに参加させることをめざしている、とマーカスは語った。
利用者がカリブラに登録するためには、各国政府発行のIDが必要だ。そして不正行為を検出するために「活動を積極的に監視する自動システム」をユーザーに提供するという。
.フェイスブックの発表によれば、限られた場合を除いて、カリブラは同意なしに利用者のアカウント情報や金融情報をフェイスブックなど第三者と共有することはない。
「つまり、カリブラのユーザーのアカウント情報や金融情報がフェイスブックや、フェイスブック・ファミリーのアプリのターゲティング広告に利用されることはない。情報が共有されるのは、ユーザーの安全に関わる場合、法令に基づく場合、ユーザーに基本的な機能を提供する必要がある場合に限られる」
フェイスブックは、システムの設計は現在も継続中であることを強調した。
リブラが決済の主流に?
これまで、フェイスブックは仮想通貨計画について沈黙を守ってきた。先月になって、もうすぐ計画が発表されるのではないかと多くの人が噂をしはじめた。当時、ソーシャルメディア業界に詳しいマット・ナバラは本誌に、フェイスブックは個人情報の扱いにルーズと思われているので、いざ仮想通貨を立ち上げるときには問題に直面するかもしれないと指摘した。
「フェイスブックには、仮想通貨を作る技術的、経済的資源がある」と彼は語った。「問題は信用だ。今は誰もフェイスブックを信用していない。彼らがユーザーの金融とそれに付随する情報に手を付けようとしていることに、規制当局もユーザーも、ことさら警戒するはずだ」。
フェイスブックはこの点をよく認識しているらしく、このネットワークの運営は同社が先頭に立つわけではなく、リブラ協会の創設メンバーと協力していくことを強調する。「リブラの採用企業は膨大な数に上るだろう。多くの信用のある企業が、この計画に参加したがっている。だからリブラは主流になる可能性がある」と、マーカスは語った。
(翻訳:栗原紀子)
※6月25日号(6月18日発売)は「弾圧中国の限界」特集。ウイグルから香港、そして台湾へ――。強権政治を拡大し続ける共産党の落とし穴とは何か。香港デモと中国の限界に迫る。
ジェイソン・マードック
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