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人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』が問う、国と正義と人の倫理

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月22日 15時10分

デナーリスについて考えるのは、私たち自身を考えることでもある。ドラゴンの猛烈な炎で人々を焼き尽くす行為は正しかったのか? 私たちにはドラゴンはいない。しかし1日に何度でも人類を壊滅させるに足る大量破壊兵器がある。ドローンを飛ばして人を殺してもいる。

今のアメリカ大統領は1つの戦争を終わらせて、新たに別の戦争を始めようとしているらしい。私たちはそれを許すのか、非難するのか?

デナーリスの焦土作戦の是非を論じることを通じて、私たちはアメリカ政府の軍事政策を支持するか反対するかの答えを見つけようとする。デナーリスの倫理を問うことは、きっと私たち自身の倫理観を研ぎ澄ますことにも通じる。

よくできた物語は、私たちを楽しませるだけでなく、私たちの目を開かせる。『ゲーム・オブ・スローンズ』よ、このまま終わらないでおくれ。

<本誌2019年6月11日号掲載>


※6月25日号(6月18日発売)は「弾圧中国の限界」特集。ウイグルから香港、そして台湾へ――。強権政治を拡大し続ける共産党の落とし穴とは何か。香港デモと中国の限界に迫る。



ダイアン・ウィンストン(ジャーナリスト)


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