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トランプ娘婿の「パレスチナ和平案」、イスラエルの悪事には触れず

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月26日 17時0分

だが、長年中東平和を求めてきた人々の多くは、ひどく一方的な話だと憤る。

NGOの「中東平和のための教会連盟(CMEP)」は声明でこう述べた。「新和平案は、パレスチナ経済のもっとも切迫したニーズの多くを正しく特定する一方で、問題の根本原因を誤っている。パレスチナ人居住区の開発が進まないのは、50年にわたるイスラエルの軍事占領と、パレスチナ経済を窒息させることを意図した政策の直接的な産物だ」



「パレスチナの人々に完全な自由と自決権を与える政策こそが、経済を繁栄させるために必要だとCMEPは確信している。このごく基本的な条件が満たされないかぎり、どれほど綿密でよく練られた経済開発案も失敗に終わるだろう」

米国ユダヤ人民主評議会のハリー・ソイファー事務局長は、トランプ政権のアプローチは偽善だと主張する。トランプは今年1月、パレスチナへの援助をすべて停止している。そこへ巨額支援を持ち込むのは、まさに焼け太りだ。イスラエルが占領地をパレスチナに返すかどうかも決まっていない。

そのためか、イスラエルもパレスチナ自治政府もこの会合には出席していない。

「クシュナーの『繁栄に向けた平和』は、トランプ政権の偽善的で空虚な外交政策の一例だ。クシュナーの見栄えのいいカタログは、トランプ政権が資金援助を停止している米国際開発局(USAID)プログラムや、政権が主流から遠ざけた人たちまで取り上げている。そんなウソのカタログで和平を謳うなど、許されるはずがない」と、ソイファーは述べた。

「トランプ政権には、昔からあるアイデアの表紙だけをすげ替え、自分の手柄だと自慢する癖がある。そのくらいなら、トランプ以前のアメリカの基本方針だった2国家共存案を支持して欲しい。2民族のための2国家が、安全かつ平和に共存することこそが、将来の和平合意の基礎になる。空疎な約束と見栄えのいいイメージは役に立たない」とソイファーは続けた。

(翻訳:ガリレオ)


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クリスティナ・マザ


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