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非人道レベルに達した米移民危機、国境当局で辞任相次ぐ

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月26日 19時30分

<記録的なペースで流入する不法移民やその子供が非人道的な環境に放置され、トランプ政権にも危機感がないことに対する抗議の辞任か?>

国境管理を統括する米税関・国境警備局(CBP)のトップであるジョン・サンダース局長代行が6月25日に辞任の意向を明らかにした。移民危機の最中の突然の辞任に、注目が集まっている。

サンダースは辞任理由を明らかにしていない。だがCBPは、メキシコとの国境地帯で拘束された不法移民の子供たちにまともな衛生環境さえ提供できず、ベッドもなくコンクリートの床に直接寝るという非人道的な扱いをしていることで、厳しい批判を受けてきた。

<参考記事>トランプ政権が生んだ、命も危ない児童移民収容所

辞任直前にはちょっとした事件もあった。司法省の法務担当者が、拘留中の供たちに法律が求める安全で衛生的な生活を提供するためには、石鹸や歯ブラシ、歯磨き粉、ベッドは必ずしも必要ない、と連邦裁判所で証言したのだ。サンダースは在任中、まさにそうした品々を確保する必要性を訴えていた。

ホワイトハウスの記者会見でトランプは、サンダースに辞任を求めたことはないと語った。サンダースは今年4月にトランプの指名でCBPの最高責任者に就任したばかり。トランプによれば、2カ月の短い任期中、サンダースと直接やり取りしたことはなかったと、他人事のように言った。

自分で指名しておきながら、「彼と話したことはないと思う」と、トランプは言った。「CBPの運営にはいい人材をあてているはずだし、そのことについて、私は何も知らない。彼はとてもいい人だと聞いている。直接は知らないが」

子供たちはたらい回し

ここ数カ月、移民政策関連機関の最高幹部の辞任が続いている。税関・国境警備局を監督する米国土安全保障省(DHS)の長官を務めていたキルステン・ニールセンも4月に辞任した。現在、DHSと移民税関執行局(ICE)責任者はどちらも代理が務めている。

移民政策に関わる機関で最高幹部の異動が多いのは、トランプが「自分の政治課題に合わせようと、無意味な人事の入れ替えを続けることで」リーダーシップを主張しているからだ、と上院国土安全保障委員会のベニー・トンプソン議長(民主党)は批判する。

アメリカとメキシコの国境を越えて逮捕される不法移民が記録的な数に上るなか、対応する米政府諸機関の側では資金と人材の不足が深刻化している。不法移民の子供を一時的に収容する施設が「受け入れ難い惨状」と批判されると、当局は数百人の移民の子供をまだ余裕のある施設に移送しようとした。だが移送している間に目指す施設も過密状態になったため、移送した子供のうち100人をわずか一日で元の施設に連れ帰ることになったほどだ。

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