米中首脳会談、どこまでも平行線の両国に妥協の余地はあるか
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月28日 16時45分
アメリカは、中台軍が対峙する台湾海峡でも艦船の航行を続けており、「国際法で許されているあらゆる場所の飛行、航行と作戦行動を実行する」とする。
アメリカは、豊富なエネルギー資源をめぐって各国が領有権を争う南シナ海において、中国が長期的なプレゼンスを確立するために複数の島を軍事拠点化しているとも非難している。CNNは6月20日、イスラエルの情報企業イメージサットから提供を受けた画像を元に、中国が南シナ海の西沙諸島にある永興島に殲10(J10)とみられる複数の戦闘機を配備していると報じた。
27日の会見でこの報道について問われた任は、「西沙諸島に領有権問題はない」とだけコメントした。「主権国家が自国の領土に設備を配備し、訓練を実施するのは正当な権利だ。中国の行動は合法、妥当で公正なものだ」
米中間の軍事関係を改善する試みがほとんど成果をあげていないなか、最近では貿易問題が悪化の一途をたどっており、注目が集まっている。
「国際社会の声に耳を傾けて」
米政府は、中国が一帯一路イニシアチブによって世界各地のインフラに投資を行い、経済的影響力を拡大するのを阻止しようとしている。
ドナルド・トランプ米大統領が2018年5月、中国からの輸入品に高い関税を課して以降、両国は互いの輸入品に対して巨額の追加関税を課す報復合戦を繰り広げている。トランプは6月26日にFOXニュースの番組で、日本・大阪でのG20サミット(主要20カ国・地域首脳会議)で中国の習近平国家主席との会談が不調に終われば、今後さらに3250億ドル相当の中国製品に最大10~25%の追加関税を課す用意があると語った。
中国外務省の耿爽報道官は翌27日、「中国人は、追加関税の脅しには屈しない」と記者団を通じて言い返した。
「我々はまやかしの議論は信じないし、圧力を恐れてもいない。そのような小細工は我々には通用しない。アメリカに対して改めて言いたいのは、貿易戦争を起こして関税を引き上げることは、他国だけでなく自分たちをも苦しめる行為で、いかなる問題の解決にもならない、ということだ」。耿はこう語ると、アメリカに対して6月26日、アメリカに「二国間主義や保護主義やいじめに反対する国際社会の声に耳を傾けて欲しい」と、訴えた。
(翻訳:森美歩)
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トム・オコナー
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