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欧州も日本もアメリカのイラン制裁を支持している──米国務省が世界規模の印象操作

ニューズウィーク日本版 / 2019年7月17日 21時0分

その後イランの核開発問題について問われた耿は、アメリカは「誤った方向に向かうのをやめ、他の関係諸国の正当な権利と利益を尊重し、核合意の実施を妨害する行為を止めるべき」だと主張、さらに「この問題の政治的、外交的解決に向けて努力する」ことを求めた。

EU外務理事会は15日にイランの核合意破りについて協議を行ったが、もともとこの協議の目的は、イランとの貿易を試みるあらゆる国を脅かすアメリカの対イラン制裁への対応を話し合うことだった。EUはイランの合意違反を非難はしたが、それはまだ「後戻り可能」であり、核合意に基づく紛争解決手続きの発動を正当化するほど「重大な」ケースにはあたらないとみなした。

EUのフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表は、イラン核合意の締約国は、「合意の締結以来数週間前まで核合意の規定を完全に順守していたイランに今後も順守を促すために」アメリカの制裁を回避してイランとの貿易を続ける仕組み作りを計画していることを明らかにした。

モゲリーニはアメリカをEUの「最良のパートナーであり同盟国」と呼びつつ、締結国が「再び制裁を科すというアメリカの決定の影響を緩和」し、「可能な限り、制裁による損害を補う」措置を検討する可能性があることを示唆した。



米国務省は15日のアラビア語のツイートで、他にもイギリスやドイツがアメリカを支持しているかのようなことを書いている。たしかにイギリスとドイツは、フランスとの共同声明で、イランの動きに「懸念」を示した。しかし一方では、核合意が「アメリカによる制裁で崩壊の危機にある」と警告もしている。

日本がイランの決定を「強く懸念して」いるという大菅岳史外務報道官の談話も引用しているが、同談話で日本が「国際不拡散体制の強化と中東の安定に資する核合意を支持」している部分は除外している。

ドナルド・トランプ大統領は、2015年の核合意には、イランによるイスラム過激派の支援や弾道ミサイル開発計画を抑止する効果がないという理由で、合意からの離脱を決めた。

国務省がツイートで触れた「米支持国」の中で、トランプの核合意離脱を支持しているのはイスラエルだけだ。ベンジャミン・ネタニヤフ首相は「ウラン濃縮の理由はただひとつ。核爆弾を作ることだ」と言ったという。

その後ネタニヤフは、イランがウラン濃縮度を高めて合意に違反したのに制裁しないEUは、「1930年代のヨーロッパの(ナチスに対する)宥和政策を想起させる」という発言で物議を醸している。

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