インドとパキスタンの仲裁を申し出たトランプの皮算用は
ニューズウィーク日本版 / 2019年7月30日 19時15分
<トランプは見返りにパキスタンから、隣国アフガニスタンでの戦闘終結への協力を持ち掛けられた?>
訪米したパキスタンのカーン首相と7月22日に会談したトランプ米大統領の発言が、インドの猛反発を呼んでいる。
トランプはカーンに対し、印パが領有権をめぐり長年対立するカシミール問題で、自身が仲介役になることを提案。インドのモディ首相からも仲裁を頼まれていると語った。
これに対し、インド外務省のラビーシュ・クマール報道官は「そんな依頼はしていない」と即座に否定。印パ間の話し合いは2国間交渉のみで進めるという従来からの方針に変わりはないと強調した。
核を保有する印パ両国は今年2月、カシミール地方の実効支配線を越えて互いに空爆を行い、全面戦争の危機に陥ったばかりだ。そんな両国の仲裁をトランプが申し出たのは、見返りとしてパキスタンから、隣国アフガニスタンでの戦闘終結への協力を持ち掛けられたためではないかと専門家らはみている。
トランプはアフガン駐留米軍の早期撤退を目指しており、その実現に向けて「パキスタンが助けてくれている」と語っている。
<本誌2019年8月6日号掲載>
※8月6日号(7月30日発売)は、「ハードブレグジット:衝撃に備えよ」特集。ボリス・ジョンソンとは何者か。奇行と暴言と変な髪型で有名なこの英新首相は、どれだけ危険なのか。合意なきEU離脱の不確実性とリスク。日本企業には好機になるかもしれない。
ナンディカ・チャンド
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