変装香港デモ隊が暴力を煽る――テロ指定をしたい北京
ニューズウィーク日本版 / 2019年8月16日 9時45分
5.彼の上司に当たる環球時報の胡錫進・編集長は、付は「報道以外、なんの任務も負っていなかった」、「彼はスパイではない」と強調し、45秒ほどの動画を公開した。そして最後に「その場にいるのはテロリストだ!」という言葉で結んでいる。この言葉が欲しかったのではないのか。
6.不思議なことに、あれほどの暴行を受けながら、付氏は軽傷で済み、翌日には普通に行動している。「芝居は終わったのか・・・」という印象を与える。
香港に駐留する中国人民解放軍
香港にはいま約8000人ほど(一説には1万人)の中国人民解放軍が駐留している。
香港返還に際してトウ小平がイギリスのサッチャー首相と交渉していた時、「中国人民解放軍に関してはどうするか」という話になった。
そのときトウ小平は火の玉のような勢いで叫んだ。
「軍隊なくして何の領土か!軍隊がいてこその国家だ!」として、「一国二制度」の「一国」を強調した。こうして1993年から香港に駐留する中国人民解放軍部隊の編成が開始され、1996年1月28日に編成を完成させて深センに配備した。そして同年12月30日に「香港駐軍法」が制定され、1997年7月1日零時に香港への進駐を完了させている。
2019年7月24日、中国国防部の呉謙・報道官は記者会見で、「香港政府の要請があれば現地の中国人民解放軍が出動することが可能だ」と強調した。中央テレビ局CCTVをはじめ中国政府系メディアは、7月21日に香港のデモ隊の一部が香港にある中華人民共和国の国章を汚すなどしたことについて「これはテロ行為だ!」と激しく非難してきたが、これに関して国防部の呉謙氏は、「必要に応じて軍隊を使う用意がある」と示唆した。
一方、冒頭で述べた楊光報道官の記者会見が行われた8月12日、CCTVなど中国の政府系メディアは同じタイミングで人民武装警察部隊が深センに移動する様子を撮影した動画を公開した。人民日報は、人民武装警察部隊の任務について、「反乱、暴動、深刻な暴力事件および違法な事件、テロ攻撃およびその他、社会の安全を脅かす事態に対処する」と具体的に説明している。
なお、人民武装警察部隊は2018年1月1日零時を以て、中央軍事委員会の直轄となっている軍隊である。
何もわざわざ武装警察がテロ防止の予行演習などをしなくとも、そもそも香港に中国人民解放軍がいる。いざというときには駐香港の中国人民解放軍がいるので、武装警察の予行演習はあくまでも威嚇が目的だ。
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