「世界一セクシーな男」が次にやりたいのは恋愛コメディー
ニューズウィーク日本版 / 2019年8月17日 14時40分
――まだやったことがなくて、トライしてみたい役は?
純粋なロマンチック・コメディーをやってみたい。愛とロマンスといろいろな感情が押し寄せてくるような感動物語を探しているところだ。
――相手役の希望は?
特にない。重要なのはストーリーで、相手役に誰がいいかは、今すぐには思い付かない。
――ホラー映画もやったことがないのでは?
実は、大昔に端役で出演したことがある。でも誰も見たことがないような映画だから、その話はしないよ(笑)。
――最近は俳優だけでなく、脚本家や監督にも黒人が増えた。
時代を象徴していると思う。私はこの業界に30年近くいるが、その間にいろいろなことが変わってきた。今は演じる側だけでなく、製作陣にも黒人が増えている。女性も重要な役割を果たすようになった。昔は圧倒的に男性ばかりの業界だったが、それが変わってきたことは素晴らしいと思う。変わるべくして変わってきたことだ。
――あなたがDJだと知って多くの人が驚いた。今年のコーチェラ・フェス(アメリカの野外ロックフェスティバル)にも出演したとか。
実は、私のDJ歴は俳優歴と同じくらい長い。ただ、あまり言わなかっただけだ。最近は自分の音楽活動やDJ活動に自信がついてきて、誇りに思っている。昔は第2のキャリアとしてかなり真剣に取り組んでいたから、素人ではないと思う。
世界最高のラッパーも、そうなる前は自分の寝室で音楽を作っていた。世に出てくるまでみんな知らないだけでね。でも、音楽業界でコーチェラに出演するのはすごいことだから、今年出演できたことをとてもうれしく思っている。
――あなたの娘のイサン・エルバは、今年のゴールデングローブ賞授賞式のアンバサダー役(トロフィーなどを運ぶ役)を、心の病について意識向上を働き掛ける機会にしたとか。
娘をとても誇りに思っている。ゴールデングローブ賞の仕事が決まったとき、「奇麗なドレスを着て目立つチャンス」ではなく「何かを伝える機会にしたい」と言ったんだ。主催者もそれを快諾してくれた。
娘は心の病について世の中の関心を集めたいと思っていた。彼女は昔、学校でひどいいじめに遭ったことがあったが、それは相手の少年が心の病を抱えていたせいだと分かった。彼は薬物治療を受けていたが、その薬を飲んでいなかった。
彼は娘に罵詈雑言を浴びせ掛け、娘は本当につらい思いをした。でも、彼は自分をコントロールできない状態だった。娘はそれを知って、彼の悩みを聞いてあげる人が必要だと思った。そういう場所がないから、友達に暴言を吐くのだ、と。
それを聞いてとても感動した。娘がつらい経験を、ポジティブな運動に変えたことを本当に誇りに思う。しかもゴールデングローブという世界の注目を集める舞台を、そうした問題に対する意識向上に使おうというのだから、親としてこんなに誇らしいことはない。
<本誌2019年07月16日号掲載>
※8月13&20日号(8月6日発売)は、「パックンのお笑い国際情勢入門」特集。お笑い芸人の政治的発言が問題視される日本。なぜダメなのか、不健全じゃないのか。ハーバード大卒のお笑い芸人、パックンがお笑い文化をマジメに研究! 日本人が知らなかった政治の見方をお届けします。目からウロコ、鼻からミルクの「危険人物図鑑」や、在日外国人4人による「世界のお笑い研究」座談会も。どうぞお楽しみください。
ジャニス・ウィリアムズ
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