アメリカはインド太平洋での軍事的優位を中国に奪われた 豪シンクタンク
ニューズウィーク日本版 / 2019年8月20日 16時0分
<アメリカは依然、世界一の軍事大国だが、世界中に戦線を広げ過ぎて、もしアジアで中国が素早い軍事行動に出れば、米軍には阻止できないかもしれない>
インド太平洋地域におけるアメリカの軍事的優位性は、国内の党派対立や世界各地での戦争などが原因で揺らぎつつあり、軍事衝突となれば急成長を遂げる中国が圧倒するかもしれない──。
そう結論付けたのは、豪シドニー大学アメリカ研究所が8月19日に発表した報告書。「危機回避:アメリカの戦略、軍事支出とインド太平洋における集団的自衛」と題された104ページの報告書は、「アメリカはインド太平洋地域における軍事的優位性を失いつつあり、望ましい勢力バランスを維持できるかどうかますます不確かになりつつある」と指摘。地域の「軍事大国」として注目しているのが、ドナルド・トランプ米大統領が2018年の国家防衛戦略で最大の脅威と位置づけた中国だ。
China could overwhelm some U.S. military assets in the Western Pacific within "hours," says think tank https://t.co/qAmgJNG8v9— Bloomberg (@business) August 19, 2019 「中国は、インド太平洋の米軍拠点の一部をものの数時間で圧倒してしまうかもしれない」(豪シンクタンク)
南シナ海で演習中の中国海軍の精密誘導ミサイルフリゲート艦(2019年8月) LIANG ZHANGMING/CAI SHENGQIU/CHINESE PEOPLE'S LIBERATION ARMY
報告書によれば、アメリカは今でも世界一の軍事大国と思われているものの「中東で続く複数の戦争、緊縮財政、先端軍事技術への投資不足や自由世界秩序の構築を目指す大規模な対外関与などの複合的な影響により、中国と張り合うには準備不足の状態にある」という。
<参考記事>太平洋諸国で存在感を強める中国 米国は「肉食獣の経済力」を懸念
着実に軍事力を増強してきた中国
一方中国は、「大規模な部隊を作戦地域に運んで作戦を行い、全領域で軍事的優位性を確立する、というアメリカの戦争手法を研究し、精密誘導ミサイルをはじめとする対介入システムを大量に配備している」。「米軍がこれらの兵器の射程内に近づくのを難しくすることで、中国は限られた戦力でも先制攻撃を行い、米軍が到着する前に台湾や日本や南シナ海の島々を奪って支配を既成事実化できる」
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