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危険増す香港デモ 天安門事件の「戦車男」を彷彿とさせる瞬間

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月27日 16時0分

デモ行進に参加した看護師のセリーヌ・ウォン(38)は同紙に対して、「学生たちはレンガを投げたりしているが、そういうやり方には賛同できない」と語った。「でも政府の暴力に比べれば、彼らの暴力もたいしたことはない」

同じくデモに参加したロリー・ウォンは、平和なデモでは政府に何も衝撃を与えることができていないから、一部のデモ参加者は暴力に訴えているのだと語った。「暴力の拡大は、香港市民に対する自治政府の無関心の結果だ」と彼は米CBSニュースに語った。

香港警察は、銃を抜いた警官たちの行動は正当だと擁護している。余铠均警視正は26日に行った記者会見で次のように語った。「6人の警察官が銃を抜いたが、それは自分の命が危険にさらされていたからだ。彼らは自分や、その場にいたほかの警察官や市民を守るために銃を抜いた。1人の警察官が空に向けて発砲したが、弾は誰にもあたっていない」

同警視正はまた、タンクトップ姿の男性に銃口を向けた警察官が男性を蹴ったことについても、「当然の対応だった」と語った。



警察は、25日のデモで12歳から48歳のデモ参加者36人を逮捕したと報告している。また当局によればこのデモで重症者1人を含む38人が病院に搬送され、警察官15人が怪我をして治療を受けた。

ネット上では、林亦非の写真を「戦車男」の写真と比較する声が上がっている。1989年の天安門事件の際、戦車の列の前に立ちはだかって無言の抵抗をした男の写真は、同事件を象徴する1枚となった。天安門の抗議デモでは、中国軍の厳しい取り締まりによって、数百人から数千人の死者が出た。



インターネット掲示板レディットのあるユーザーは、「この写真も、天安門事件の時のような象徴的な1枚になるかもしれない」と投稿。別のユーザーは「天安門事件の戦車男の再来だ」と書き込んだ。

香港のデモは、元々は刑事事件の容疑者の身柄を中国本土にも引き渡すことを可能にする条例の改正案に対する反対から巻き起こった。だがその後、デモ隊の要求が拡大し、今は香港の民主化を求める運動に発展している。

(翻訳:森美歩)


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中国では忘れられた「戦車男」 BBC NEWS

アリストス・ジョージャウ


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