アマゾン火災 熱帯雨林が燃えても「酸素は大丈夫」
ニューズウィーク日本版 / 2019年8月29日 16時35分
結局、アマゾンが地球の大気に放出するネットの酸素量は「ほぼゼロ」になると、サレスカは言う。木々を成長させる光合成の効果は、微生物による枯れ木や落ち葉の分解でほとんど相殺されるからだ。
「大気中の酸素の割合は20.95%で、おおむね一定している」と、サレスカは話す。「アマゾンの木々が燃えても、大気中の酸素量には大した影響はない。CO2については、話は別だが」
<参考記事>燃えるアマゾン、融けるグリーンランド 2人のデタラメ大統領が地球を破壊する
サレスカによると、大気中の酸素量は1990年以降、0.005%低下しただけで、ほぼ問題にならない。
「(0.005%の低下は」科学的には検出可能で、非常に興味深い、有用な数値だが、現実生活では無視していい。低下の原因は(おもに)化石燃料を燃やしたことだが、そのほぼ10%が世界中の森林伐採に伴い枝葉が燃やされていることによる。多めに見積もった割合だ。もしアマゾンの森林破壊が世界の森林破壊の半分を占めると仮定すれば、アマゾンの森林破壊によって減る酸素減少量は全体の0.005%のうちのさらに5%ということになる」
アマゾンの森林が全て失われたとしても、大気中に推定120万ギガトンある酸素量におよぼす影響はごくわずか。「大気中にある膨大な量の酸素のうち、光合成で放出される酸素はごくわずかだ」と、サレスかは言う。
確認のため、本誌はニューヨーク州立大学オールバニ校のアンドレイ・ラペナス准教授にアマゾンの森林の酸素生産量を計算してもらった。それによると、年間生産量はおよそ32ギガトンに及ぶが、一方でほぼ同量を消費しているそうだ。
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1万年も前からアマゾンに暮らしてきた先住民ヤノマミ族の集落にも火の手が迫っている
アリストス・ジョージャウ
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