「7つの習慣」の中で「健康なまま年を取る」に役立つのはこれ

ニューズウィーク日本版 / 2019年9月3日 17時40分

<健康なまま年を取るためには早めの健康マネジメントが不可欠。とはいえ、差し迫った問題として捉えにくい分、習慣化は容易ではない。「緊急でないが重要なこと」にリソースをさく意味について名著『7つの習慣』に学ぶ>

厚生労働省によれば、2018年の日本人の平均寿命は男性で81.25歳、女性は87.32歳を記録。男女ともに過去最高の数値を更新し、世界トップクラスの長寿国だ。寿命100年の現実へと真っ先に突入すると予測されている。

しかし、こうした長寿化を手放しに喜ぶことはできない。

いくら寿命が延びても「健康なまま死に至るのは20人に1人」だと、東京慈恵医科大学教授・行動変容外来診療医長兼慈恵医大晴海トリトンクリニック所長の横山啓太郎氏は語る。

横山教授はこのたび、長生きに伴うリスクを解説し、主体的に健康な生活習慣を獲得していく必要性とその方法について提案すべく、『健康をマネジメントする――人生100年時代、あなたの身体は「資産」である』(CCCメディアハウス)を刊行した。

「病気」ではない「老化」を正しく見つめ、ときに世界的ベストセラーで紹介される思考法まで交えながら「マインドセット」と「習慣」の改善を目指す一冊だ。

ここでは本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。第2回は、健康マネジメントに向き合うためのマインドセットを名著『7つの習慣』から学ぶ。

※第1回:「人生100年なのに医療は人生70年設定のまま」が引き起こす問題

◇ ◇ ◇

あたりまえのことをいいますが、人生100年はとても長い期間です。どれだけ体にいいことをするか、と上をめざすより、自分にちょうどいいことを無理なく、できるだけ長くつづけていくほうが大切です。

私たちの時間には限りがあります。その限りある時間のなかで、なにを優先して取り組むべきか。行動の優先順位を見きわめ、優先順位の高い行動により多くの時間をさくことが必要となります。

そこで読んでいただきたいのが、スティーブン・R・コヴィー博士による世界的ベストセラー『7つの習慣』(『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』キングベアー出版)です。「7つの習慣」を実践しつづけることによって、人間は連続した成長を遂げることができるという内容で、ビジネスパーソンの方なら一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

じつはそのなかの「第3の習慣 最優先事項を優先する」が、人生100年時代の健康マネジメントには不可欠なのです。まだ読んでいない人には、まずは「第3の習慣」の部分だけでも目を通してみることをおすすめします。



コヴィー博士は、人間活動は4つの領域に分類されるといいます。下の図を見てみましょう。



意識しないと他人軸で生きてしまいがち

私たちの活動は「重要度」と「緊急度」で分けることができます。緊急度は「すぐに対応を迫られるかどうか」、重要度は「人生の目的や価値観にとって重要かどうか」を示しています。

私もそうなのですが、多くの人は第Ⅰ領域「緊急で重要なこと」や第Ⅲ領域「緊急で重要でないこと」に日々追われ、振り回されています。期限の決まっている仕事、差し迫った問題、危機への対応は第Ⅰ領域、日々の電話やメール、会議、報告書作成、無意味と思える付き合いなどは第Ⅲ領域といえます。

「緊急で重要」なのだから、一見、第Ⅰ領域がもっともリソースをさくべき事柄に思えるかもしれません。第Ⅲ領域も、重要度でみると低いかもしれませんが、緊急度は高いから、こちらにもリソースをさいたほうがよさそうだ――。そう思い、人生が第Ⅰ領域と第Ⅲ領域に支配される人は多いでしょう。

しかし、第Ⅰ領域や第Ⅲ領域だけに対応するのは、他人軸で生きることなのです。第Ⅰ領域と第Ⅲ領域は人の都合に振り回される事柄のため、時間のコントロールができません。つねに忙しい状態がつづきます。他人軸で生きていると、私たちは肉体的にもメンタル的にも疲弊していきます。

そのため、せっかくの残ったリソースを、まるで現実逃避するように緊急度も重要度もいちばん低い第Ⅳ領域「緊急でも重要でもないこと」についやしてしまうのです。悲しいことですが、これが私たち人間の性です。

健康マネジメントは、まさに「緊急でないが重要なこと」

では、人生100年時代の健康マネジメントは、この時間管理のマトリクスのどの領域に相当するでしょうか。

第Ⅳ領域ではないはずですが、第Ⅰ領域でもありません。いますぐやらなければ死にいたるとか、明日からでも寝たきりになるという緊急の課題ではないからです。

正解は、第Ⅱ領域「緊急でないが重要なこと」です。

第Ⅱ領域は、目の前の必要性にせまられている事柄ではありませんが、中長期的な視点をもってつづけなければ成果が出ない類の事柄です。



コヴィー博士は第Ⅱ領域「緊急でないが重要なこと」の重要性を、こう説明しています。

「第Ⅱ領域は、効果的なパーソナル・マネジメントの鍵を握る領域である。この領域に入るのは、緊急ではないが重要な活動である。人間関係を育てる、自分のミッション・ステートメントを書く、長期的な計画を立てる、身体を鍛える、予防メンテナンスを怠らない、準備する。こうした活動はやらなければいけないとはわかっていても、緊急ではないから、ついつい後回しにしてしまうことばかりだ。効果的な生き方のできる人は、これらの活動に時間をかけているのである」

つまり、自分自身の人生を充実させ、成功させるには、第Ⅱ領域「緊急でないが重要なこと」にリソースをさきつづけなければならないのです。

「第Ⅱ領域に使える時間をつくるには、第Ⅲ領域と第Ⅳ領域の時間を削るしかない」ともコヴィー博士はいいます。まずは第Ⅲ・Ⅳ領域を削って、第Ⅱ領域「緊急でないが重要なこと」に集中できる時間をつくる。それにともない、「第Ⅰ領域は徐々に小さくなっていく」ともいっています。

健康マネジメントは、まさに「緊急でないが重要なこと」であり、かつ誰にでもあてはまるものだというのが私の考えです。いままさに体に不調を感じているわけではないけれども、将来のことを考えるなら、いまから行動し、それを継続しなければならないのです。

※第1回:「人生100年なのに医療は人生70年設定のまま」が引き起こす問題
※第3回:健康マネジメントは「部下の育成」「子育て」「愛車メンテナンス」と同じ


『健康をマネジメントする――
 人生100年時代、あなたの身体は「資産」である』
 横山啓太郎 著
 CCCメディアハウス


ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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