サウジ石油施設攻撃はトランプがなめられたから起きた
ニューズウィーク日本版 / 2019年9月19日 17時20分
これに対するトランプ政権の反応は、ホルムズ海峡の安全を守る新たな有志連合を同盟諸国から募ったり、イラン人やイランの在米資産にあまり効き目のない制裁を科すぐらい。概して弱腰だ。もしポンペオの言うことが本当なら、今やイランはサウジアラビアの石油インフラに重大な穴を開け、グローバルな石油供給を不安にさらした。だから私は言ったのだ。イラン革命防衛隊にペルシャ湾で大きな顔をさせると、厄介なことになると。
イランやその他中東の対抗勢力は、トランプは大口を叩くが攻撃はしてこないと思っているだろう。誰も戦争などしたくないが、もしイラン革命防衛隊がアメリカの無人機を撃ち落としたときにアメリカが反撃していたら、イランもサウジの重要石油施設を攻撃するという大胆な行動には出なかったかもしれない(もしイランの仕業だったらの話だが)。
その代わり彼らは、アメリカが過去70年間に中東で営々と築いてきた権益を丸ごと危険にさらしているのだ。もしトランプが軍事的な行動には出ないというなら、アメリカは直ちに中東を去るべきだ。
(翻訳:栗原紀子)
From Foreign Policy Magazine
※9月24日号(9月18日発売)は、「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集。終わりなき争いを続ける日本と韓国――。コロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)が過去を政治の道具にする「記憶の政治」の愚を論じ、日本で生まれ育った元「朝鮮」籍の映画監督、ヤン ヨンヒは「私にとって韓国は長年『最も遠い国』だった」と題するルポを寄稿。泥沼の関係に陥った本当の原因とその「出口」を考える特集です。
スティーブン・クック
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