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<サウジ>対イラン戦争は避けたいが、戦う用意はある

ニューズウィーク日本版 / 2019年9月19日 16時20分

イラン政権に近いタスニム通信によると、イラン最高安全保障委員会のアリ・シャムハニ事務局長は18日、「緊張を緩和し、いかなる紛争も避け、対話を通じて地域の危機を解決することが、イランの戦略的政策である」と述べた上で、次のように警告を発した。「わが国またはわが国の利益を攻撃する意図や企てを十全に監視する体制が整っており、われわれは邪悪な行動を事前につぶし、全面的な対応をとることにより、最も激烈な形で攻撃者を驚かせるだろう」

ドナルド・トランプ米大統領は18日、「イランに対する制裁を大幅に強化するよう財務長官に指示した」とツイートした。前日には、攻撃の黒幕はイランの「ようだ」とも述べたが、14日の時点で即座にイランの仕業と決めつけたマイク・ポンペオ国務長官ほど強い断定は避けた形だ。

イランとサウジアラビアの緊張を一気に高めた今回の攻撃は、トランプ政権の「イラン封じ込め」が中東で影響力を増すなかで起きた。トランプは、イランと敵対するサウジアラビアとイスラエルの強力な盟友と見られていて、制裁緩和でイランが武装勢力への支援を拡大し、ミサイル開発を進めているとして、2015年に成立した核合意から離脱し、制裁措置を再発動した。米政府は、今も核合意を支持している中国、EU、フランス、ドイツ、ロシア、イギリスとこの問題で対立している。



中国とロシアも、14日の攻撃を強く非難したが、米政府と国際社会に対し、イランの関与について予断を持つべきではないと釘を刺した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、イランとトルコの大統領が同席した16日の共同記者会見で、この2国に売却したロシア製の最新鋭の地対空ミサイルシステムS300とS400をサウジアラビアに売却してもいいと提案した。

サウジアラビアが配備している迎撃システムはほとんどがアメリカ製だが、14日の攻撃に使用されたミサイル(低空を飛んだと報道されている)を探知できなかったようだ。とはいえ、ロシアの国営タス通信によれば、記者会見前にプーチンとサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が電話で協議した際には、武器売却の可能性については話し合われなかった模様だ。

イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は、来週ニューヨークで行われる国連総会に出席するイランのハサン・ロフハニ大統領がトランプと会談する可能性を完全に否定。米政府が核合意に復帰しない限り、いかなる形であれ対話はあり得ないと断言している。米政権幹部はトランプが前提条件なしでロウハニと会談する用意があると発表していたが、14日の攻撃後トランプはそれを取り消した。

※9月24日号(9月18日発売)は、「日本と韓国:悪いのはどちらか」特集。終わりなき争いを続ける日本と韓国――。コロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)が過去を政治の道具にする「記憶の政治」の愚を論じ、日本で生まれ育った元「朝鮮」籍の映画監督、ヤン ヨンヒは「私にとって韓国は長年『最も遠い国』だった」と題するルポを寄稿。泥沼の関係に陥った本当の原因とその「出口」を考える特集です。




イランのものとされる武器の残骸



トム・オコナー


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