シンガポールの危険な「フェイクニュース防止法」
ニューズウィーク日本版 / 2019年10月2日 17時45分
<参考記事>日本が低迷する「報道の自由度ランキング」への違和感
<参考記事>メディアへの信頼度が高いだけに世論誘導されやすい日本
国際的な人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチでアジア局長代理を務めるフィル・ロバートソンは、英紙ガーディアンにこう指摘した。「この法律はインターネットの自由を萎縮させるもので、その余波は東南アジア全域に及ぶだろう。さらに、自らが考える狭量な『真実』をより広い世界に対して押しつけることで、新たな情報弾圧に火をつける恐れがある」
世界各国の裁判官、弁護士、法学者で構成され、世界各地の人権侵害に警鐘を鳴らすNGO、国際法律家委員会(ICJ)も、この新法は政府による権力乱用を容認するものとの見解だ。
シンガポールには以前から、一部で厳し過ぎると言われる書籍を対象とした「ジャーナリズム法」がある。国際NPO、国境なき記者団の「世界報道自由度ランキング」でも、シンガポールの順位は、全180カ国・地域中で151位と低い。
国境なき記者団のウェブサイトでは、シンガポールの現状について「報道の自由の抑圧度は中国と大差ない」とある。「当局は記者たちに、政府を非難する記事を削除せず、規則に従わない場合は、最長20年の懲役刑になる可能性もあると、脅す内容のメールを送り始めている」
シンガポールの与党、人民行動党(PAP)は、この新法の必要性を強調する。「世界の金融ハブで、さまざまな民族や宗教が共存し、インターネットが広く普及した社会」というシンガポールの状況を挙げた。
(翻訳:ガリレオ)
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ハンター・モイラー
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