写真撮影で「怪しいOKサイン」を出したテーマパークのスタッフが解雇

ニューズウィーク日本版 / 2019年10月3日 16時40分

<白人至上主義者たちのシンボルとして使われ出してから、OKサインに対する逆風がエスカレートしている>

フロリダ州にあるテーマパーク、ユニバーサル・オーランド・リゾートのスタッフが、少女(当時6歳)と写真を撮るとき「OK」サインをして解雇された。

USAトゥデー紙によれば、「事件」は、ティフィニーとリチャードのジンガー夫妻が今年3月、同テーマパーク内のリゾートホテルで行われたキャラクター・ブレックファスト(人気キャラクターに会える朝食)に子どもと参加した時に起こった。

問題に気付いたのは母親のティファニーだ。8月になって、この時に子どもたちが人気キャラクターと一緒に撮ってもらった写真を見返しているとき、人気キャラクターの着ぐるみを着たスタッフが、「OK」サインをしていたのだ。

以前なら何でもなかったことだが、世界に通じるOKサインは近年、白人至上主義のシンボルに使われるようになり、元の意味より人種差別の意味に解釈されることも増えている要注意サインになっているのだ。

<参考記事>「OK」のサインは白人至上主義のシンボルになったので、一般の方はご注意下さい

家族を思う気持ちを「台無しにされた」

黒人のティフィニーはこれをヘイト(憎悪)のサインと捉え、自閉症の娘(現在7歳)に、どうしてこの写真は学校の自由工作で使えないかを説明しなければならなかった。

問題のOKサイン


ティフィニーはUSAトゥデー紙に語った。「家族のための特別な旅行だったのに、このスタッフが台無しにした」

ティフィニーはこの一件に「とても動揺した」と語っており、この経験が娘の発達に悪影響を与えるのではないかと懸念している。

<参考記事>銃乱射を同性愛のせいにするアメリカの懲りない白人至上主義者

彼女は写真の中にOKサインを見つけた後、スマートフォンで撮影した動画も確認した。すると29秒間の動画の中に、件のスタッフが娘に手招きして自分の隣に立たせ、娘の肩の上に置いた右手でOKサインをつくる様子が映っていた。USAトゥデーの動画を見ると、確かに様子がおかしいようにも見える。

夫のリチャード(白人)も同紙に対して、こう語っている。「あれは単にOKを意味するサインではない。多くの人が、あのサインの意味を理解していない」



動画を見つけた数日後、夫妻はこの問題について、ユニバーサル・オーランド・リゾートに連絡したが、「調査中」と言われた。1か月後、再びユニバーサル側に連絡すると、「機密扱いだから教えられない」と言いつつ、ギフトカードと無料チケットの送付を申し出た。ユニバーサルが顧問弁護士を通じて返事をしてきたのを受けて、夫妻も弁護士を雇う。ティフィニーは、ほかの家族が同じような目に遭うことがないように「変化をもたらしたい」と語っている。

本誌の取材に対し、ユニバーサル・オーランド・リゾートの広報担当はOKサインをしたスタッフをクビにしたことを認めた。

「この家族が経験したことは、他のお客様には決して経験させたくないことです」と広報担当のトム・シュルーダーはコメントした。「とうてい許容できず、申し訳なく思っています。同じことが二度と起こらないよう、対策を講じます」

「問題のスタッフはもう当社では働いていません。今後もジンガー家と連絡を取り続け、和解のための努力をしていきます」

反差別団体が「ヘイトの象徴」と認定

OKサインの旗色は悪くなるばかりだ。この件のわずか1週間前には、ニュージーランドのクライストチャーチにあるモスクで銃を乱射して51人を殺害した罪に問われたオーストラリア人の被告が、逮捕後の出廷の際に「OK」サインをしてみせている。

9月下旬には、反差別を掲げるユダヤ系団体の名誉毀損防止連盟(ADL)が、このOKサインを「白人至上主義者をはじめとする極右過激主義者が頻繁に使うヘイト(憎悪)の象徴」として、データベースに登録した。ADLはこのジェスチャーについて、「ホワイト・パワー」を意味するシンボルとして使われていると説明している。

ADLのオンライン・データベース「ヘイト・オン・ディスプレイ」には、OKサイン以外にも、人種差別の悪名高いシンボルが数多く登録されている。白人至上主義団体KKK(クー・クラックス・クラン)のガウン、ナチスの鉤十字などだ。

ADLは2000年以降、司法当局や学校をはじめとする多くの人々が、過激主義の活動に使われるサインを認識できるようにするために、独自のデータベースを作成して発表している。現在、データベースに登録されたシンボルは200近くに達している。

(翻訳:森美歩)


※10月8日号(10月1日発売)は、「消費増税からマネーを守る 経済超入門」特集。消費税率アップで経済は悪化する? 年金減額で未来の暮らしはどうなる? 賃貸、分譲、戸建て......住宅に正解はある? 投資はそもそも万人がすべきもの? キャッシュレスはどう利用するのが正しい? 増税の今だからこそ知っておきたい経済知識を得られる特集です。




問題のOKサイン


カレダ・ラーマン

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング