印パ核戦争の推定死者1億2500万人、世界中が寒冷期に
ニューズウィーク日本版 / 2019年10月3日 17時10分
インドが戦略核100発、パキスタンが150発を使用した場合、直後の死者は5000万人から1億2500万人に上る(爆弾のサイズにより死者数は異なる)。第二次大戦の死者数は5000万人だ。
核戦争後は、さらに多くの餓死者が出ることはほぼ確実だと、チームは予測する。核爆弾投下により広範囲で火災が起き、大気中に1600万から3500万トンの煤が放出される。煤は太陽熱を吸収し、大気を温めるため、上昇気流が発生して煤はさらに上昇し、太陽光を20〜35%遮る。その結果、地表の温度は約6.5〜16℃低くなり、最終氷期以降、人類が経験したことのない寒冷な気候になる。降雨量は世界全体で15〜30%減り、一部地域では極端な乾燥化が進む。
こうした変化により、世界全体で植物の生育は15〜30%、海洋の生産性は5〜15%低下すると、チームは結論づけた。
「現在の核戦争は、標的になった地域だけでなく、世界全体を脅かす」と、ロボックは警告する。
「前回の核爆弾投下から74年間、人為的ミスやパニック、誤解、技術的な欠陥、ハッキングをまぬがれ、核戦争を回避できたのは、運が良かったとしか言いようがない」と、ロボックは本誌に語った。
「兵器があれば、使いたくなるものだ。カシミールをめぐる目下の紛争で、その危険性はエスカレートしている」
よほど重大な挑発行為がない限り、どちらの側も核の先制使用は控えるだろうが、南アジアで小規模の「新冷戦」が始まっているのは確かだ、と研究チームは警告している。
「インドとパキスタンは、不幸にもかつての米ソ冷戦を見習うかのように、抑止力の範囲を大幅に越えて、大量破壊兵器の軍拡レースを繰り広げている」と、論文は指摘する。
インド、パキスタンの核保有数はアメリカ、ロシアに遠くおよばないが(米ロは合計で世界の核保有数、推定1万3900発の93%を保有している)、いずれも核の備蓄をせっせと増やしている。インドは現在130〜140発の核弾頭を持つと見られているが、2025年までには200発に達する見込みだ。
核戦争を防ぐ方法は「ただひとつ」とロボックは断言する。「核廃絶しかない」
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中国の軍事パレードに参加した各国の軍隊
ロージー・マコール
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