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コロナは「地方」と地域文化に影響を与えた...サントリー地域文化賞選考委員座談会(下)

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月20日 10時44分

御厨 ああ、あれね。すごく好きだった。徳島の妖怪村(※8)

佐々木 妖怪村では、妖怪が川のほとりにいっぱい展示してあって、それはそれで面白い。けれども、さらに近くの山奥の村でも、空き家になった家の縁側とかいろいろなところに人形をばーっと並べていた。

これも妖怪みたいなものだけれども、こちらは観光目的じゃなく、妖怪村からインスピレーションを与えられた一人のおばあちゃんが趣味でやっているんですね。これは一体何だろうと。

傾斜が35度とかありそうな山道沿いに細い畑があって、滑り落ちたイノシシはそのまま死ぬというような(笑)、ものすごい山奥の風景と、そこに住む人たちと、そこでの楽しみ方、人間が生き抜くための遊び方。そういうものを見ると、ああ、これは面白い詩ができるなという感触がある。

[注]
(7) 2011年特別賞は2つ。
   ①岩手県陸前高田市 全国太鼓フェスティバル│震災復興の起爆剤となる「太鼓の甲子園」
   ②福島県川俣町 コスキン・エン・ハポン│絆を深め、希望を育む中南米音楽の祭典
(8) 2013年 徳島県三好市 四国の秘境 山城・大歩危妖怪村│山里に伝わる妖怪伝説を核にした地域づくり
(9) サントリー文化財団事業 可能性としての「日本」研究会

御厨貴(Takashi Mikuriya)
1951年生まれ。東京大学先端科学技術研究センターフェロー、東京大学名誉教授。東京大学法学部卒業。専門は近代日本政治史、オーラル・ヒストリー。東京大学先端科学技術研究センター教授などを歴任。「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」座長代理。TBS『時事放談』司会者でもあった。著書に『平成風雲録』(文藝春秋)、編著に『天皇退位何が論じられたのか──おことばから大嘗祭まで』(中公選書)、『舞台をまわす、舞台がまわる──山崎正和オーラルヒストリー』(中央公論新社)、『天皇の近代』(千倉書房)など多数。2018年紫綬褒章受章。

田中優子(Yuko Tanaka)
1952年生まれ。法政大学名誉教授。法政大学文学部日本文学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。法政大学社会学部教授、社会学部長などを経て法政大学総長、2021年退任。専門は日本近世文学、江戸文化、アジア比較文化。2005年紫綬褒章受章。著書に『江戸の想像力』(ちくま学芸文庫)、『江戸百夢──近世図像学の楽しみ』(ちくま文庫、サントリー学芸賞)、『遊廓と日本人』(講談社現代新書)など多数。

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