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韓国ソウル大が「自己消滅できるロボット」を開発 将来的に偵察・監視で活躍か

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月7日 19時45分

研究チームは約2年間かけてソフトロボットを自己消滅させる方法を検討し、エラストマーを作るシリコン樹脂に、紫外線にさらされるとフッ化物イオンを放出する物質(ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、DPI-HFP)を添付する手法にたどりつきました。フッ化物イオンには、エラストマーの高分子を切断する作用があります。

彼らは、市販のシリコン樹脂(Ecoflex 00-30およびSylgard-184)とDPI-HFPを混ぜ合わせて型に流し込み、60℃で30分間硬化させてソフトロボットを作成しました。できあがったのは5センチ× 2センチ× 1センチほどの大きさを持つ、四本足の動物のような形のロボットです。ロボット内部には電気信号や熱、紫外線を受信できるセンサーがあり、外部から信号を送ると歩行させることができます。

自己消滅試験では、まず365ナノメートルの紫外線を30分間照射して、フッ化物イオンの放出を促しました。次にソフトロボットの内部で120℃の熱を発生させて加熱し、溶解を進めさせました。すると、加熱後90分ほどでロボットは回復不能な状態まで溶けて、後には「油性の液だまり」だけが残されました。液体の中には細かい電子部品の残骸も含まれていましたが、もはや再現は不可能でした。

研究者たちは、運動が可能なボディ素材を用いながらソフトロボットに自己消滅の機能を持たせられた点に価値があるとして、実用化には課題が多いが非常に大きな成功を収めたと主張しています。

「溶けるロボット」に関する懸念は、歩行や飛行機能、軍事利用にも耐えられる精密性を持たせるには開発に時間がかかりそうですが、定点設置の小型カメラに機能を搭載するのであれば比較的早く実用化しそうに思えるところです。つまり、盗撮用カメラなどに悪用され、目的達成後や発覚しそうになった時に証拠隠滅される恐れがあるということです。

さらに、各国の軍事機関は、研究者が論文として公表している技術以上のスパイロボットを開発していることは間違いありません。これまでも、軍事技術は一般社会でGPSや電子レンジなどに転用されて、人々は多くの恩恵を受けています。スパイロボット技術も、ヒトに対する偵察・監視ではなく、地球環境や災害時での平和利用に応用されることを願いましょう。

韓国ソウル大チームが開発した、自ら溶ける四本足のソフトロボット

英放送局BBC Oneが動物ドキュメンタリー番組『Spy in the Wild』のために開発した、カメラとマイクを搭載した動物型スパイロボット

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