G20にアフリカ連合が加入──大国も新興国も「アフリカの友人アピール」する意味とは?
ニューズウィーク日本版 / 2023年9月11日 13時45分
ナイジェリアのタッガー外務大臣は米メディアのインタビューに対して「植民地時代から現代に至るまで、アフリカが'幼児化'されてきた」と語っている。つまり、「遅れている」「未開発」といったイメージに基づき、「アフリカは大国の決めたことに黙ってついてくればいい」と扱われてきたというのだ。
こうした不満をすくいあげ、アフリカを惹きつけようと、米中をはじめ多くの大国はこれまでも「友人アピール」を競ってきたのである。
大国の同床異夢とアフリカ
インドもその例外ではなく、2008年に初めて開催されたインド・アフリカ・フォーラムでは「植民地支配に苦しんだ経験を共有する途上国同士の協力」が強調された。
AUにG20加入を認めることは、こうした不満を和らげることにつながる。だからこそ、どの国も反対しないどころか、「自国は率先してアフリカを歓迎している」とアピールしたがる。
もちろん先進国はそれによってアフリカが先進国に協力的になることを期待するし、中ロは全く逆のことを期待する。インドはインドで...といった具合で、その意味では大国の同床異夢ともいえる。
ただし、大国の「アフリカの友人」アピールがアピール倒れになる可能性も否定できない。貧困国の集まりであるアフリカに実質的な発言力を大国が認めるかには疑問もあり、「G20加入の歓迎」という形式で終わらせようとする公算も否定できない。
アフリカの多くの政治家ももちろんそれを承知している。そのため、外部に対する発言力を強化しようと、アフリカ各国でバラバラの意見を一本化しようとするエネルギーも強まると見込まれる。
G20サミット会場での表面的な友好ムードの裏では、次のステージに向けて各国の利害関係が渦巻いているとみてよいのである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
※筆者の記事はこちら。
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