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ウクライナ、黒海艦隊の拠点セバストポリで大きな戦果

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月14日 19時13分

リジェンコもこのミサイルが使用されたと可能性が高いとみているが、ウクライナ国産の対艦巡航ミサイル「ネプチューン」の改造型が使用された可能性もあると指摘する。

1年半に及ぶウクライナ戦争で、黒海を拠点とするロシア海軍の部隊は何度も屈辱を味わわされてきた。ウクライナはロシアの艦隊に対抗できるような本格的な海軍力を有していない。にもかかわらず黒海の制海権を取り戻すべく、果敢にドローンやミサイル攻撃を仕掛けてきた。

ロシア海軍が受けた屈辱の最たるものは、黒海艦隊の旗艦「モスクワ」の沈没だろう。ロシアが誇るミサイル巡洋艦は昨年4月、ウクライナの対艦ミサイル攻撃であっけなく撃沈された。しかも、その後継の旗艦「アドミラル・マカロフ」(フリゲート艦)も昨年10月、ウクライナ軍の攻撃にさらされ、沈没はまぬがれたものの大きな損傷を受けた。

ウクライナ軍は先月初めにも、セバストポリの東に位置する、黒海艦隊の主要拠点ノボロシスクに停泊中のロプーチャ級揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」を水上ドローンで攻撃。その直後にクリミア半島とロシア本土を結ぶケルチ海峡で、ロシアの石油タンカー「シグ」にも攻撃を加えた。揚陸艦もタンカーも深刻な損傷を受け、タグボートに曳航されてドック入りした。

オランダの公開情報分析サイトOryxのオープンソースデータによれば、開戦以降16隻のロシアの艦船が攻撃を受け、うち10隻は破壊された。破壊された艦船は「モスクワ」、「ミンスク」、タピール級揚陸艦「サラトフ」、セルナ級揚陸艇など。損傷を受けたのは潜水艦「ロストフ・ナ・ドヌ」、揚陸艦「オレネゴルスキー・ゴルニャク」、ナティア級掃海艇などだ。

ウクライナの奇襲に手を焼く

ウクライナ軍の攻撃が相次いで成功しているため、ロシアの艦船はウクライナ南部沿岸に接近できなくなっている。ロシアは重要な海軍資産をクリミアから比較的安全な黒海の西側の港湾に退避させたと伝えられている。

ウクライナ軍にとってロシアの軍艦は価値あるターゲットだ。ロシア軍は黒海艦隊を使ってウクライナの都市に巡航ミサイルを撃ち込んでいる上、黒海艦隊はウクライナの穀物輸出の主要港に民間船が近づけないよう、海上封鎖も行っているからだ。

長年セバストポリに海軍基地を置いていたロシアは、それを強みに2014年にクリミア半島を占領し、一方的に併合した。そのためセバストポリはロシアのクリミア支配の要衝であるとともに、ウクライナのクリミア奪還にとっても重要な港となっている。

ウクライナの奇襲攻撃と驚異的な士気の高さはこれまでもロシアを苦しめてきた。黒海の北西部のズミイヌイ島(別名スネーク島)は、海面に岩が突き出た小島にすぎないが、ルーマニア沿岸に近い戦略的に重要な島で、ロシア軍はウクライナ侵攻開始の初日にこの島を占領。だがウクライナ軍の果敢な攻撃で、4カ月後に撤退を余儀なくされた。

先月24日には、ウクライナの特殊部隊が小型船でクリミア半島西端の海岸に一時上陸。ウクライナ国旗を掲げた。また9月11日には、2015年からロシアが支配してきた黒海のクリミア半島沖にある石油採掘プラットフォームの奪還にも成功した。

<動画>黒海艦隊に大打撃を与えたウクライナの攻撃



デービッド・ブレナン


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