日本は不況の前例ではなく「経済成長の手本」。中国が「日本と違う」これだけの理由
ニューズウィーク日本版 / 2023年9月27日 18時40分
刺激策が国民を甘やかした結果は、投資効率の低下としてデータに表れている。今の中国では、同じ生産高を生み出すのに必要な投資額が20年前の約2倍に達している。
刺激策が「パラサイト」を生んだ一方、資本はその効力を失っているのだ。
自由市場型か、毛沢東主義か、国家主義か
同じことは、形こそ違うとはいえ、習を含めた若者たちが「階級闘争」の中で育った毛沢東時代にも起きていた。ここでも歴史を参考にするならば、中国では今後、健全な経済を維持するために必要な人的資本や適切な職業倫理の不足が予想される。
今の習には、経済政策について3つの選択肢がある。
1つ目は自由市場型アプローチ。中国ではこれは縁故資本主義を意味し、習と敵対する派閥が今も力を持っている分野だ。
2つ目は毛沢東主義的アプローチ。政治的には有効だが、かつて中国を窮地に追い込んだ方法だ。
そして3つ目は国家主義。政府が主要産業を独占し、民間部門には厳しい規制や制限を課す。
習は1つ目の選択肢は受け入れ難く、2つ目を全面的に受け入れるほど愚かでもない。3つ目のやり方を選び、それに固執することになる。
クルーグマンは正しい。2023年の中国は1991年の日本とは違う。「中国は(当時の日本より)さらに悪い状態に陥るだろう」と、彼は書いている。
練乙錚(リアン・イーゼン、経済学者)
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