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シーク教徒指導者殺害で激しく対立するインドとカナダがこだわるカリスタン運動とは

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月26日 14時9分

「首相の無能さは、世界最大の民主主義国家であり、アジアの新興大国であるインドとカナダの関係に深刻なダメージを与えている。首相は最終的に正しい振る舞いを選び、自分の陰謀説を証明する何らかの証拠を出せるのだろうか」

インド政府もシーク教徒の分離主義運動を取り締まらないカナダの姿勢を批判した。

「この問題に対するカナダ政府の不作為は、長年の懸念だった。カナダの政治家がこのような勢力に公然と同調を表明していることは、非常に重要な問題だ」

「カナダでは以前から、殺人、人身売買、組織犯罪など、さまざまな違法行為が容認されている。われわれは、インド政府とこのような動きを結びつけるいかなる試みも拒否する。われわれは、カナダ政府に対し、自国内で活動するすべての反インド勢力に対し、迅速かつ効果的な法的措置をとるよう求める」

その後、インドは正式な通達を出すことなく、突然カナダ市民へのビザ発行を中止した。カナダのビザ申請センターを運営するBLSインターナショナルは、カナダのウェブサイトに理由をあいまいにぼかした次のような告知を掲載した。「インド代表部からの重要なお知らせ。運営上の理由により、2023年9月21日より、インド・ビザサービスは追って通知するまで停止します」

インド外務省のアリンダム・バグチ報道官は、この措置の理由として、「カナダにあるインドの高等弁務官事務所や領事館の安全を脅かす事態が生じているため、通常の機能が停止している」と記者団に語った。

一方、ニューデリーの在インドのカナダ高等弁務団は、インド国内にいるカナダの外交スタッフがソーシャルメディア上で脅迫を受けたとして、すでに現地インド人職員に建物から避難するよう促している。

カナダで活動する過激派

ニジェールが殺されたのは、今年6月。ブリティッシュコロンビア州サレーにあるシーク教寺院の駐車場で射殺された。

インドの法執行機関によれば、1977年にパンジャブ州で生まれたニジェールは、武装組織カリスタン・タイガー・フォース(KTF)とつながりがあった。1990年代にインドで逮捕されたが、1997年には地下に潜り、身分を偽って逃亡した。

インド政府によれば、ニジェールが過激派組織とつながっている証拠は時間の経過とともに濃厚になっていった。その結果、彼の名前は、2018年に当時のパンジャブ州のアマリンダー・シン知事からトルドーに渡された最重要指名手配リストに含まれることになった。

過激派組織に対するカナダの姿勢は、カナダのインド人コミュニティーでも物議をかもしている。インド政府によれば、世界シーク組織(WSO)、KTF、シーク・フォー・ジャスティス(SFJ)、ババル・カルサ・インターナショナル(BKI)といった分離運動組織が、カナダ国内では自由に活動している、というのだ。



ダニシュ・マンズール


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