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NATO加盟を断念すれば領土はウクライナに返す──ロシアは今そう言ったのか?

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月27日 16時37分

「ラブロフの発言は、ウクライナがNATOへの加盟を断念すれば、独立直前の1990年に設定されていたウクライナの国境をロシアが認める可能性を暗示している」

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの戦争が始まって以来、ウクライナのNATO加盟を推進し、その努力はNATO幹部の支持を得てきた。だが、仮にゼレンスキーが戦争終結のためにNATO加盟を断念することに同意したとしても、クリミア問題で行き詰まる可能性が高い。

プーチンは2014年にクリミア半島に侵攻し、併合したが、ゼレンスキーは半島を自国の一部として取り戻すと宣言している。ソ連崩壊後、クリミア半島はウクライナの領土とされたため、ラブロフはロシアがこの地域を放棄する可能性を示唆したのではないかとの憶測もある。

カッツは、クリミアは1990年の時点ではウクライナ・ソビエト社会主義共和国の属州だったが、「ラブロフの声明は決定的なものではないかもしれない。クリミアに関しては後にウクライナにそれほど寛大ではない『説明』が行われるかもしれない」と感じているという。

「それでも、ロシアが単に戦争を終わらせたいだけなら、それが占領中のウクライナの領土に対するロシアの支配を放棄することを意味するとしても、ウクライナのNATO加盟を阻止することを、勝利と表現することができるかもしれない」

「だがウクライナとNATOがこの条件に同意するとしても、プーチンが停戦を実行できるかどうか、私にはわからない。この紛争でロシア軍が経験した莫大な犠牲が、そのような合意に見合うのかという問題が提起されるだろう」

コーネル大学のデビッド・シルビー准教授(歴史学)は、ラブロフの発言とそれがクリミアとどう関係していくかという点が「曖昧で、それ自体が興味深い」と本誌に語った。

「ラブロフにとって、話を明確にするのは簡単だっただろうが、彼はそうしなかった。彼がプーチンの許可を得ずにこのようなことをするはずがない。両者ともに、こうした発言はクリミアについての疑問を提起することを知っているはずだ」

ドネツク州などを返還?

ロシアがクリミアをウクライナに返還する気がないとしても、ラブロフの発言は、プーチンがドネツク、ヘルソン、ルハンスク、ザポリージャ州の支配権を放棄する可能性を意味するとも解釈できる。1年前、プーチンはこの4つの地域をロシアに併合したと発表し、国際社会からは違法な動きと批判された。

「この4つの領土に関しては、返還する意思がロシアにあることを示唆していると思う」と、シルビーは語った。



ジョン・ジャクソン


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