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次々にアフリカ諸国から追い出されるフランス...見透かされる「搾取を続ける宗主国」のダブルスタンダード

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月4日 18時28分

彼女によれば、フランスは事有るごとに「ニジェールのウランは必要ない」などと言い立て、フランスにとってニジェールの経済的な重要性は低いという印象を振りまいている。しかしアメリカや他の大国は、ニジェールの重要性をわきまえているという。

フランスの影響力低下を加速させたのは、確かにアフリカの政治と安全保障をめぐる問題だ。だが同時に、サヘル地域で「旧宗主国があまりに長く影響力を振るっている」というイメージをつくったのはフランスの経済的な動きだったと、ヤドは言う。

米デューク大学のンバイ・バシール・ロー准教授(国際比較研究)も、経済的要因がアフリカの反仏感情を助長してきたと指摘する。「フランスから経済的に搾取され続けてきたことの悪影響は、アフリカで人々の日常生活の隅々にまで及んでいる」

アフリカにおけるフランスの支配が正式に終わったのは、アルジェリアが独立した1962年。その2年前には、フランスの植民地だったアフリカの国々の大半が独立を果たした。だが旧フランス領の多くではユーロとの為替レートが固定されたCFAフランがいまだに採用され、フランスは民間部門も含めて支配的な影響力を振るい続けている。

「アフリカの旧植民地諸国では、フランスに搾取され続けてきた歴史が政治的危機を生む要因の1つになっている」と、ローは言う。「フランスとの現行の協定に既得権益を持つアフリカの政治エリートは、危機への対処能力がないか、対処したがらないかだ」。軍部がこうした問題を指摘すれば、すぐに国民の支持を集められると、ローは指摘する。

さらにローは、アメリカが「従来の意味での植民地化や搾取をアフリカ大陸で行っていない」ことを大きなポイントとして取り上げる。この点は、一部のアフリカ諸国の要求が仏軍基地の撤収に向けられ、米軍基地には向けられない理由の1つだという。

同様の論理は、中国とロシアがアフリカで存在感を強めていることにも当てはまる。両国はアフリカと数十年前から外交関係を築き、解放の広範なプロセスの助力にもなった。「ここで押さえておくべきなのは、大国はそれぞれアフリカ大陸と独自に交流してきており、アフリカ側の受け止め方も相手国ごとに異なるという点だ」と、ローは言う。

反発が臨界点に達した

オックスフォード大学ブラバトニック公共政策大学院のフォラシャデ・スーレ研究員も、地政学的な変化は「特にフランス語圏アフリカでのフランスの影響力の転換点」になっていると言う。「トルコや中国、イランのような新興の戦略的パートナーは、こうした地域で軍事的なプレゼンスを強めている」と、彼女は指摘する。「西側の大国はフランスを、アフリカにおける多国間協調の取り組みの先例と見なしてきた。だが今はフランスを手本とするのをやめ、サヘル地域やフランス語圏アフリカへの戦略で独自色を強めて、反仏感情が自国に及ぶのを回避しようとしている」

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