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三国志にキングダム...中国文化への「巨大なリスペクト」がある日本だからこそ、「勘違いモード」に警告する資格がある

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月18日 11時30分

中華街へのイメージからも分かるとおり、現代韓国で、中華という概念が話題になることはほぼありません。それは上編でもお話ししましたように、今はKポップやKカルチャーが既にソフトパワー化しており、若者はそうした先進国になった後の韓国に生まれているためです。

若者にとっては、中華よりも優れていると自認する韓国のソフトパワーがあり、それが世界でも影響力を持っているため、中華という概念はまず復活しないのではないかと思います。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で、日米韓の枠組が強調される中で、対日認識は回復傾向にある一方、特に若者の対中認識をどう和らげていくのか、その道筋はまだ立っていません。今後、韓国と中国、さらに日本の立場を考える上でも、若者の意識は重要になるのではないかと思います。

世界が突きつけられている課題

阿南 「経済成長著しい中国とはもはや対峙できない」と多くの日本人が圧倒されてしまっています。しかし、その中国は、外国からの借款によって経済を発展させてきたのです。その7割近くが日本からのものです。つまり、日本から金を借りて発展してきたのです。

岡本 しかし、日本のお金で中国経済が発展したというイメージは、日本社会の中にはないですよね。

阿南 ないと思います。1970年代以降の日本は中国への贖罪意識やリスペクトから借款や技術支援を行い、復興を手伝ってきました。約半世紀にもわたって積極的に関係構築をしてきたという既成事実を日本人は認識しなくてはいけません。

「これだけ支えてきたけれども、結果は思わしくない」という眼前の厳しい現実を日本人は直視しなければならない状況にありますが、習政権の一連の振るまいに対する対策を理性的に講じていく上で日本社会に根付く中国への文化的リスペクトは、重要な基盤になるはずです。

岡本 貴重なご指摘をありがとうございます。森先生、野嶋先生はいかがでしょうか?

本座談会は6月に都内で開催された。左より阿南友亮氏、岡本隆司氏、森万佑子氏、野嶋剛氏

森 今の日本の若者は中国に行きたがりません。しかし、東アジアの今後の平和を考える上では、台湾、香港、韓国、日本、中国の若い世代が実際に会って、話す機会が非常に重要です。

どうすれば日本の学生が中国に関心を持ち、中国へ行こうと思えるのか。私としては、東アジアの学生交流の促進に力を入れていきたいと思っています。

野嶋 習近平政権によって研究者としての将来、ジャーナリストとしての行動など、多くの人々の人生設計が狂ってしまいました。訪問自体に拘束や入国拒否のリスクが伴うからです。

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