なぜ日本はサイバー攻撃者に「狙われやすい」? 政府や金融機関だけでない、意外な「標的」とは
ニューズウィーク日本版 / 2023年10月10日 10時58分
また、 航空宇宙産業も狙われている。日本は、宇宙開発などの研究開発(R&D)における世界的なリーダーであり、さまざまな省庁や官庁、機関が関与している。業界内の豊富なデータは計り知れない価値を持っており、政府系攻撃者の主な標的になっている。加えて、鉄鋼業なども狙われているが、その理由は、日本の鉄鋼業が世界の重要なインフラを支える上で極めて重要な役割を果たしているからだ。
攻撃者にとって魅力的な地理的および地政学的な日本の位置
さらに意外と思われるかもしれないが、ファスナー産業も攻撃者たちが注目している。日本のファスナー産業(ナット、ボルト、ねじの製造など)は、年間で約1兆円相当のファスナーを生産する。そんなファスナー業界は、約3000社のメーカーと、約 400社の販売代理店および商社で構成されている。その規模ゆえに狙われやすくなる。
最後に、日本へのサイバー攻撃を語る上で忘れてはいけないのが、スパイ活動などを行う国家支援型のハッカー集団や、ハクティビスト(ハッカー活動家)集団だ。彼らにとって、アジア太平洋地域において日本は非常に魅力的なターゲットになっているのだ。
日本の戦略的な地理的および地政学的な位置により、中国やロシア、北朝鮮のハッカーたちは、日本や西側諸国のQUAD(日本、アメリカ、オーストラリア、インドで構成される多国間枠組み)およびNATO(北大西洋条約機構)との戦略的同盟や、進行中の領土紛争などで優位性を狙っている。そのために機密情報を狙うサイバー工作を仕掛けている。
経済的繁栄と貴重な知的財産を守るために、日本は進化する脅威に効果的に対抗するための堅牢なサイバーセキュリティ対策と官民の積極的な協力を優先する必要がある。
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