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イスラエル地上侵攻の最重要ターゲットはこの男、手足と目と家族を奪われながらも「不死身」のハマス軍事司令官

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月16日 20時35分

だが、多くのハマス支持者にとっては、影から戦争を仕掛けるデイフの謎めいた能力は、長い間、彼が掲げる大義への支持を煽るのに役立ってきた。

ガザのアル・アズハル大学で政治学を教えるムハイマール・アブサダ教授が本誌に語ったように、「彼の存在はハマスの軍事部門にとって重要だ。彼らはデイフを賞賛し、彼のリーダーシップによって刺激を受けている」。

ガザにある地域研究センターのアイマン・アル・ラファティ理事は、デイフは「パレスチナの抵抗の象徴となっており、パレスチナ人の間で絶大な人気を誇っている」と本誌に語った。デイフは現在「新世代のパレスチナ人に刺激を与える存在と考えられている。その証拠に、パレスチナ人が唱える祈りのなかには常に彼の名前が組み込まれている」。

デイフの顔がわかる写真は2枚しかなく、いずれも数十年前に撮影されたものだ。そのため、今回のハマスの攻撃の開始と同時期に録音された演説と共に、珍しくデイフのシルエットの画像が登場したとき、パレスチナの闘士たちはさらに活気づいた。

デイフは現在、さらに多くの戦士を結集させようとしており、「レバノン、イラン、イエメン、イラク、シリアのイスラム抵抗勢力の兄弟たち」に対イスラエル戦争への参加を呼びかけている。この呼びかけはこの5カ国の全域で活発に議論されている。

メラメッドによれば、文字通り影に隠れたデイフの正体は、1965年頃にガザ南部のハーン・ユニス難民キャンプで生まれたムハンマド・ディアブ・イブラヒム・アルマスリ、またの名をアブ・カレドとも呼ばれる人物だ。

デイフの家族はヘブロン北西の村アル・クバイバに住んでいたが、1948年のイスラエル建国時の戦争が勃発したため、他のパレスチナ人住民同様、逃げ出してガザ南部の難民キャンプハーン・ユニスに移り住んだ。このときの戦争が、その後数十年に渡る中東紛争の幕開けとなった。

ロイターによれば、デイフは「ガザのイスラム大学で物理学、化学、生物学を学び、理学士の学位を取得した。芸術にも親しみ、大学のエンターテインメント委員会を率いて、喜劇の舞台への出演も経験した」。演劇の経験は、彼の演説の劇的効果を与えている、とメラメッドは言う。

<動画>イスラエル大規模攻撃の黒幕デイフの稀有で静かな檄



トム・オコーナー


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