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中学生の段階で約1割の生徒が性交を経験している

ニューズウィーク日本版 / 2023年10月18日 10時40分

経験済み率が2割を超えるのは、キスが15歳、性交が18歳 DavideAngelini/SHUTTERSTOCK

<学習指導要領では、中学校の保健で「妊娠の経過」は取り扱わない、と規定しているが......>

日本性教育協会は、おおよそ6年間隔で青少年の性行動について調査している。最新の調査は2017年に実施されたもので,翌年8月に報告書が出ている。

注目されるのは、性行動の経験率だ。2017年調査によると、大学生男子の4つの性行動の経験率は以下のようになっている。これまでに、当該の行為をしたことがあると答えた人のパーセンテージだ。

▼告白......67.7%
▼デート......71.8%
▼キス......59.1%
▼性交......47.0%

「こんなものだろう」という印象を持つ人が多いのではないか。報告書の時系列グラフを見ると、どの行為の経験率も2005年をピークに低下傾向で、これをもって若者の「草食化」と言われたりする。

では,当該の行為を初めて経験したのはいつか。各行為の初経験の年齢分布を示すと<表1>のようになる。

赤字は最頻値(mode)だ。好きな人への告白は14歳、デートとキスは15歳、性交は18歳となっている。思春期の只中の14歳で告白して、翌年にデートとキス、自由な空間が持てるようになる大学1年時に初体験、というパターンが多いようだ。

これは経験者のデータで、未経験の人は蚊帳の外に置かれている。「●歳の時点において、同世代の●%がキスを経験済み」という情報にも興味が持たれる。多感なティーンは、「自分は周囲に比べて早い(遅い)のか」と内心で思っているものだ。

<表1>のデータを加工することで、それを得ることができる。<表1>の初経験の年齢分布を最初に示した経験率にかけて全数ベースの比率にし、下から累積すればよい。たとえば15歳で初めてデートを経験した人の比率を全数ベースにすると、71.8%のうちの17.3%だから、71.8%×0.173=12.4%となる。

初経験の年齢の割合を同世代ベースにし、下から積み上げた累積パーセンテージにした。<図1>は、それを折れ線グラフにしたものだ。「●歳の時点において、同世代の●%が●●を経験済み」というふうに読める。

20%と50%のラインを引いてあるが、同世代の経験済み率が2割を超えるのは、告白が13歳、デートが14歳、キスが15歳、性交が18歳となっている。半数超えは告白とデートが16歳、キスは19歳だ。性交は、大学卒業時点までに半数に達しないようだ。

タテの線を引くと、各年齢時点における周囲との比較の目安が得られる。セブンティーン(17歳)をみると、告白とデートは半数、キスは3人に1人、性交は8人に1人、という具合だ。乳幼児の発育の標準を知れる「発育曲線」が母子手帳に載っているが、思春期・青年期の性行為の標準をうかがうデータとして、参考にしていただければと思う。

<図1>の曲線をよく見ると、中学生段階でも1割弱が性交を経験している(大都市ではもっと高い)。正しい知識がないために、望まない妊娠に至る生徒もいるだろう。中学校の保健では「妊娠の経過」は取り扱わない、という学習指導要領の規定は見直す余地がありそうだ。

<資料:日本性教育協会『青少年の性行動・第8回調査報告』(2018年)>

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舞田敏彦(教育社会学者)

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