世界一幸福な国フィンランドは幼稚園から温暖化対策を学ぶ 環境・気候大臣が語る「教育と気候変動対策」
ニューズウィーク日本版 / 2023年10月25日 16時30分
ヘルシンキ東部のラトカルタノ総合学校(小1~中3)。子ども自身がごみ分別やフードロスを推進したり、年間イベントとして環境保全の寄付金を集めるなど学校独自の環境活動も展開。(以下、すべて筆者撮影)
基礎教育段階(1~9年生=小1~中3)の全国共通のコアカリキュラムには、1~6年生(小学生段階)に「環境」という科目があり、7、8、9年生(中学生段階)では各科目と環境とを関連付けることが決められている。
筆者は、8年生(中2)の地理の授業1時限を参観した。気候変動が引き起こしている現象(氷山の溶解、洪水、森林火災、サンゴ礁破壊、食料不足など)について、グループに分かれ、ウェブサイトの情報を探したりChat GPTを使って調べながらまとめるという課題だった。「情報の信頼性を常に吟味するように」という先生のアドバイスが印象的だった。次の授業で、グループごとに発表するとのことだった。
気候変動について、13~15歳の女子5人の意見を聞くこともできた。みな、気候変動のことは日常生活のなかで常に考えたり、友だち同士で話題にしたりしているという。具体的に取り組んでいるアクションについても聞かせてもらったが、そのうち、ファッションの消費について5人は次のような意見を話してくれた。
●ミン
私の母は洋服を直してくれたり、ウォールポケットなどにアップサイクル(廃棄物や不要品を新しいものに作り変え、価値を高めること)してくれるので、それが私のスタイルになっている。
●エンミ
衣類は最小限で、あまり買わない。必要なときだけ買うというポリシーをもっている。
●アヤ
母の友だちは裁縫が得意。その人に頼んで、着なくなった衣類をアップサイクルしてもらっている。
●ラフ
ファッションが大好きなので、買い物はよくするほう。でも可愛いいデザインであっても、長く使えず、環境に悪いことが容易に想像できれば買わない。
●サンリ
衣類はあまり買わない。値段が少し高めでも良い品質なら長持ちするので、そういうものを買う。例えば今日履いている靴は本革で、使えなくなるまで使うつもり。
10代はファッションへの関心が高まる時期だと思うが、温暖化に配慮した消費行動が身に付いているようで感心した。省エネや脱プラスチックの点でも、5人とも日常的に行動に移していると話してくれた。
模範的な実践をしている5人を集めたのかもしれないと一瞬思ったが、おそらく違う。同校はユネスコスクール加盟校(人権や民主主義を促進したり、異文化理解を進める)であり、ウェルビーイング(幸福な状態)について教えたり、2007年から子ども自身が校内で環境活動を推進していたりと、優れた教育を実践している。同校の子どもたちは授業で環境について学び、授業以外でも環境保護、そしてSDGsの達成につながる行動ができるように育っているのだと推測する。
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