パレスチナ問題を見誤った世界の「3つの的外れ」...ハマスの奇襲に見る「新しい中東」構想の欠陥【アニメで解説】
ニューズウィーク日本版 / 2023年10月30日 17時10分
彼らが今回、ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地ではなく、イスラエル領の都市に攻め込んだことからもハマスの目標は明らかだ。
アラブ世界の大半はハマスの手口を支持していないが、国交正常化に関する世論調査を見る限り、彼らもイスラエルを非合法な存在と見なしている。この点はハマスの主張と大差ない。今回の作戦は、アメリカ主導の「新しい中東」構想を揺るがす根本的な問題を露呈させた。
3つ目は、アメリカが外交でイランの行動を変えられるという考えが見当違いだったということ。
ハマス側は、イランが今回の作戦に武器や資金、装備を提供したことを認めている。イランはイスラエルとの国交正常化について各国に警告しており、この点でもハマスとの利害は一致している。
想定外の規模の攻撃を受けたイスラエルとしては、ガザ地区を完全に封鎖してハマスの息の根を止めるために戦う他になくなった。
その先について、本音の部分では、イスラエルもガザ地区には手を出したくないはずだ。占領の意図はなくても、足を踏み入れたら最後で、周辺のアラブ諸国との関係改善どころではなくなる。実は、これこそがイラン政府の望むところなのだ。
■詳しくは動画をご覧ください。
この動画は、本誌2023年10月24日号「新・中東戦争」特集に掲載されたフォーリン・ポリシー誌からの転載記事「ハマスの奇襲攻撃を生んだ3つの要因」よりお届けしました。元記事の著者は、スティーブン・クック。米外交問題評議会上級研究員です。
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
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