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中東問題に関する日本の「中立」外交は問題なのか?

ニューズウィーク日本版 / 2023年11月1日 14時45分

3つ目の理由としては、日本の外交が江戸時代以来、そして明治から現在に至るまで、徹底的に「非宗教的」であったということがあります。国際社会には様々な利害関係が渦巻いています。その中で宗教を軸とした対立というのは無視できない問題です。ですが、日本は歴史的に「宗教による対立には関わらない」ということ、裏返せば「宗教の対立には全方位で臨む」という姿勢を堅持してきました。これは、例えば戦後における度重なる安保理非常任理事国での貢献などで結果を出したことも加わって、日本の国際的信頼の基盤となっています。今回の中立政策も、その日本外交の「非宗教性」という国是に即したものと言えます。

では現在の情勢下、G7の中で、日本だけがこうした姿勢を取ることには問題があるのかというと、それは「ない」と考えられます。

何よりも、上記の3点は求められれば胸を張って説明できるし、アメリカを含むG7諸国はそれぞれに理解を示すと考えられるからです。特にアメリカに関しては、今回の事態を受けて「イスラエル支持で団結」という状況にはなっていません。アラブ系の市民運動による「ガザ人道危機への告発」だけでなく、今は、穏健ユダヤ系による「ユダヤ系の名で攻撃するな」という反戦運動が高まっているなど、アメリカ世論は「一枚岩」ではないということもあります。多くのイスラム系市民を抱えたイギリス、フランスなど、他のG7諸国にも似たような状況があると考えて良いと思います。

日本の特に保守派の中には、日米同盟の堅持が安全保障の根幹だという認識から、軍事外交においては、アメリカに100%同調すべきという考え方が昔からありました。例えば湾岸戦争、あるいは21世紀初頭の反テロ戦争においては、可能な限りアメリカを支持する姿勢を見せることが、日本の安全を確保する上では「必要不可欠」だと思い詰めていたのです。ですが、現在の世界情勢は当時とは状況が違っており、現在の日本は「中立」を保っていいし、また条件的にもそれは可能であると考えられます。

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